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テーマ:株式投資日記(20511)
カテゴリ:破綻・再生
デトロイトスリーの1角、クライスラーモーターが米連邦破綻法11条、チャプターイレブンを申請した。これは日本の会社更生法と民事再生法の中間程度の法的整理と考えられています。
破綻といっても、明日から会社の姿かたちがなくなるわけでもなく、申し立てた後に裁判所から債権保全命令が出された日を起点とし、その時に会社が背負っている債務の返済を一旦棚上げにして、現在の会社の体力で支払える分だけ支払って、支払えないものは免除してくださいと交渉するための法制度です。 裁判所による強制力を持たせないと、債権者が自分の分だけ好き勝手に回収を計ると、他の債権者との公平性に欠けるため、法律で回収の制限を課すということのようです。 クライスラーの記事も連日、銀行団との交渉や労組との交渉などまとまったかに見えたのですが、銀行団とは依然どうなるかわからないようでした。 ここで一発、法的整理に持ち込んで、全ての債権者を同じテーブルに着かせて、同一条件で交渉することになるのでしょうか(先に合意した労組との契約は生きるのだろうか?常識的には生きないはず)。 チャプターイレブンによれば、現在の経営陣がそのまま引き続き会社経営に当たれる(debtor in possession DIP制 という)のが利点。経営の連続性は保てる。ただし、クライスラーの場合はフィアットとの連合が出来た場合、現在の経営陣は退陣が想定されています。
私は昨年来、自動車会社の破綻はサプライヤーを含めた関連産業への打撃が大きいので私的整理が望ましいと思っていました。特に日本の産業再生機構的な仕組みがよいと思っていました。しかし、こうも連日チャプターイレブンと書きたてられると、「洗脳」されてしまいます。 米国の専門家は自動車産業のサプライチェーン(部品メーカーやディーラー)への打撃が大きく、強いては自力再生がなんとかメドが建ちそうなフォードですら危うくなるといっています(しかし、今日のフォード株は今のところ絶好調。7%以上の値上がり)。
確かに米政府の破綻法適用は、かえって将来のクライスラーのためになることは賛成できます。必要な処置だったと思います。一旦膿を全部出してしまえばいいのです。ゼロクリアでゲームが再開できます。ただし、当面は混乱も予想されますが、荒治療という思い切った手を打ってきました。しかし、これが一番回復が早くなるはず。 景気の底打ちが見えるまで、つなぎ融資で先延ばししていたのかもしれません。
さて、日本のサブプライムの責任になすりつけて、税金でぬくぬくと立ち直ろうとしている企業は将来的にどうなるのでしょうか。ゾンビ化しないでほしいものです。サブプライムの責任と自らのそれまでの経営のまずさを棚上げしているようでは知れている。 日本の前回の失敗は、小出し小出しの問題先送り体質。米国はこの辺は日本の失敗から学んでいそうな気がします。日本は同じ過ちを犯そうとしています。 「日本の経験を世界に生かす」と言いつつ、自らが同じ過ちを繰り返す可能性があります。これも、選挙と言う人参にかき消されています。しかも、公的資金申請の可能性が高い某H社は事業の選択と集中どころか、いまさら太陽光発電に参入という何を考えているのかわかりません。そんなところに血税を投入しないでほしいものです。 フィアットって昔(中田英寿がイタリアにいたころ)、カダフィー大佐のリビアが出資したんじゃなかったっけ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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