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テーマ:株式投資日記(20510)
カテゴリ:破綻・再生
「GMにとって良いことは米国にとっても良いことだ」(1953年、ウイルソン元社長)
ついに破綻ですか。経営不振からかれこれ5年近く経過。 高コスト体質にメスを入れない限り、再生はあり得ない、とするオバマ政権の判断は概ね正しいように思います。しかし、金融市場にはダブルスタンダードなメッセージを送らないか心配です。
債権者に厳しく債権カットを迫ったのも政府がバックに控えている、というのは非常に微妙な感じがいたします(政府が債権者の利益をないがしろにしたとみなされがち。特に個人投資家も絡んでいるので、勘定論ではなく感情論が起こらないか心配です。 クライスラーへの債権者にもしかり。 米国が金融危機に陥った原因の一つに、有価証券・金融市場に対する価格不信があったはずです。サブプライム債権が入っているとはえ、住宅債権等のモーゲージ証券の価格破壊が発生した。サブプライムのない不動産担保証券の価値もボロボロになってしまった。金融機関の大量償却に対して、血税が注入された。全ては金融市場安定化の大義名分で)。 金融に身を置く立場の私として、これが更なる金融混乱の原因にならなければいいのですが・・・。米国債買ってほしいんですよね、オバマさん。米国債がデフォルトになることはあり得ないけど、「債権者の気持ち」も思いやってほしかった。日本は中国に次ぐ米国債の大口債権者なんですね。 (しかし、ガイトナー君が中国で 「いい子」 にしているからか、一段のドル高になっていますね。間違っても「為替操作国」なんて本音をいうなよな。ドル円は一気に96円台後半代に突入している) 金融混乱の原因となった資本市場を立て直すために、公的資金をふんだんに活用し、投資家を呼び込みながら、もう一方ではその資本市場の主人公である投資家・債権者をないがしろにしたと思われる措置を取る、とはややちぐはぐな気がいたします。
しかし、「清算価値<再生価値」として、額面100の債権を、清算すると0、再生を前提とするから(それでも)10の株式にする、として債権者に同意を求める、という手口は「普通の再生型破たん」です。したがって、米政府は破たん手続きの前提としてのこれらの措置はGMの再生のためには正しかったと思います。 企業の社債発行に影響が出なければいいですが(もう誰も政府保証を欲しいと思わないだろう)。
では 肝心の再生するかしないか、という点については政府が60%近い株式を保有するということでしょうから、ある程度めどがついたところで売却、とするシナリオが濃厚かもしれません。 フォードのようにパイプラインで評価の高いものも見当たらないので、当面厳しい状況が継続すると思います(フォードの新トーラスは 「専門家」 には評価が高い。ホンダ以上との声も)。 さらに不採算ブランドの整理もフォードに周回遅れです。 しかし、ダメだダメだと言っても仕方ないし、ブラジルのGMはこのような景気でも黒字を出している(フォードも)らしいい、捨てる神があれば拾う神がある、というのが世の中(けど、このエコ時代にハマーなんて買うやついるのかなあ)。 中間選挙までに再生のメドをつけないと民主党内でも問題になるだろうが、政治家の都合と経済の都合がごっちゃにならないで欲しいと願うばかりである。 GMにとって良いこと(チャプターイレブンによって大幅に債務免除を勝ち得る)が米国にとっても良いこと(消費者の自信回復と金融市場の正常化)になるのか? 木を見て森を見ず? 日本にとってはマイナスかなあ(理由:米国国債の値下がりリスク、トヨタは「追いかける立場」から完全に「追われる立場」になってしまう、ライバルがいなくなる、など)。
いずれにせよ、IBM、マイクロソフト、インテルの様なIT企業、ナイキ、P&Gのようなブランドマーケティング企業、ウォルマート、マクドナルドのようなチェーンストア企業、ジョンソン&ジョンソン、アムジュンの様な研究開発に優れた企業、ゼネラルエレクトリック、エマーソンエレクトリック、ボーイング等の技術力のある企業、等がアメリカの第一線の企業だとこれまで思っていましたが、やっぱり Still 自動車産業は偉大な産業だったと今回の一連の破たん騒ぎで実感する次第でした。GMが米国企業界で反面教師になることを願うばかりです。 それにしても、株式市場は今日もJUMP UPです。フォードモーターはGMが破綻すると部品メーカーが弱るので、その影響を受ける、と言われていましたが、今現在、6%もアップしています。 いくらGM破綻が織り込み済みの株式市場といえども、この活況ぶりとガイトナー君の中国訪問(要するに米国債の営業に行っている)が成功すると、これまでの強引な債務免除はオバマさんの勝ちなのかなあ。
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Last updated
2009/06/02 02:18:44 AM
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