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テーマ:株式投資日記(20510)
カテゴリ:コーポレートガバナンス
日本板硝子(NSG)は26日、CEOに前CEOの藤本会長が就任し、スチュアートチェンバース氏はCEOを辞任しシニアアドバイザーになると発表しました。 チェンバース氏の辞任理由は「家庭の事情」とのことです。
えー、わずか1年2か月程度で辞任? (ご参考)
このときのチェンバース氏はやる気満々で、私も日英の良いところを取り入れた経営を導入してくれ、新風を吹き込んでくれるものと期待していました。株も買ったのですが、さすがにこの景気ではいかんと思い、リーマンショック前に売ってしまいました。しかし、それだけ期待していました。 一つ気になっていたことは、チェンバース氏は旧ピルキントン時代に価格カルテルに関与していたのではないか、という疑惑があり、そのようなものが経営する資格があるのか、ということが言われていた時期もありました。これがくすぶっていたのか? チェンバース氏の 「後見人」 を自認していたのは当の藤本氏であり、彼がチェンバースを抜擢したといってもいいのではないでしょうか? 彼はピルキントン買収時に価格カルテルについてEUで審査中である事実を把握していましたが、それでも買収した方がメリットがある、と言って買収を強行しました。 かつ、チェンバース氏をCEOに推薦し、取締役会を国際的な陣容にしたのも藤本氏の英断(と当時は思っていた)でした。
あれだけ東京で仕事することに張り切っていたのに、「家庭の事情」 とは何でしょうね?そのうち真相が明らかになるのでしょうか? この記事に関するロイターの英文は以下の通りです。 "I have decided to put family first and company second," a decision he acknowledged might go against social norms in Japan where it is common for salarymen to put their company above all else."In that process I have learned I am not Japanese," 拙訳 「私は家族を第一に、会社を第二にすると決めた」 この決定は、サラリーマンは会社第一であるべきという日本の価値観に反すると彼は理解し、「私は自分が日本人ではないと悟った」 UPDATE 2-Nippon Sheet Glass chief Chambers steps down これだけを読むと、日本人は仕事の虫で公私を顧みない、「エコノミックアニマル」(懐かしい)で、日本企業が肌に合わない、という風に聞こえてしまいます。CEO就任時は「I'M Tokyo Boy、Now.」といい、逆買収ではないか、と騒ぐマスコミに素直に「複雑な心境だがやっていく自信はある」と言っていたのになあ。 (会社第一と言い切るジャパニーズビジネスマンって今時どれぐらいいるんだろう?もう24時間働くサラリーマンは我々の様な職業だけじゃないか? 最もたまにですけど)
多分「英国病」が盛んだった70年代~80年代だと、違和感なく聞こえますが、世界第三位のガラスメーカーで、25カ国近くに海外進出しているピルキントン社の社長経験者にそんな戯言があったのでしょうかね? カルロスゴーンさんも、日本でしっかり暮らしていましたし(ただし、彼はレバノン生まれフランス育ちでブラジル、米国など海外赴任経験が豊富な国際人)、 日本に駐在する外資系企業の日本代表もたくさんいるでしょうし、非常に残念な気がします。
ロイターの記事のアナリストはチェンバースがいなくなっても大丈夫だと言ってますが、日本板硝子は宿敵、旭ガラスの背中が益々遠くなったでしょう。 後見人、藤本新CEOはどのような心境なのでしょうか? 今後、外国人幹部が続々と辞めるようなことがあれば、結構やばいんじゃないか? 住友系の基幹企業の一つでもあるので、万が一のことはないでしょうが、海外拠点の運営に非常に気がかりになります。これが投資家の抱く一般的な心境だと思います。
日本企業の(経営の)グローバル化の退潮にならなければいいなあと思います。 【追記】 別の英国企業にヘッドハントされた可能性もありますね。ピルキントン時代からリストラに長けた人でしたから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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