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元・経営コンサルタントの投資日記

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2009/10/29
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カテゴリ:破綻・再生
JALの処理に伴い、疑問が?

 結局 「企業支援再生機構」 に送り込まれてしまったのですね。現時点では不透明感もあるが、タスクフォースと政府が作ったシナリオを機構で決済するだけなんだろ?

  1. 私的整理、公的資金の注入
  2.  年金カット

法的整理に出来ない理由? 従業員給与・退職年金は会社更生法上は優先債権であり、先に一般債権者(銀行や仕入先)が債務の棒引きを承認しなければならない。

世論を考えると、リストラが甘いと言われ続けているので、難しいと踏んでいる節がある。 また、広く社会に連鎖倒産や負のダメージを植え付ける、といったことを回避したいということだろう。

それ以上に、歴代天下り取締役の経営責任問題=政府自身の問題 がクローズアップされたくないのではないだろうか? 「政治主導」 で 「天下り、官僚打破」 じゃないのかな~?

 情報開示も大事なんですよね~ 民主党さん。

 

年金カット、大幅リストラについて。 企業の存続のためには仕方ないものの、労働組合が支持母体の民主党としては、大丈夫なのか?

こんなことを考えているらしい。

「政府が日本航空の経営再建を促すため、包括的な立法措置を検討していることが28日明らかになった。金融機関の融資に対する政府保証や、日航が支給する年金の強制的な減などが柱。」

(日経NETより)

したがって、民主党の掲げるポリシーからすれば、会社更生法が取るべきJALの道筋ではないだろうか?

官僚天下りの弊害を白日にさらす、労働債権を守る、裁判所を通して透明性のある抜本的な経営改革を行う・・・(支援機構と裁判所活用のどちらが透明性があるのかという問題は残るが、債権者的には裁判所の方が良いような気がする)。

 

(官僚から前原さんとかは)「法的整理にすれば日本経済は大混乱になりますよ」 とか言われて、納得しているのではないだろうか?

すでに混乱しているし、DIPファイナンスをまとめ上げれば(今も政府保証でつなぎ融資とか言っている。これぞDIPファイナンスと同じ)、成田・羽田から飛行機は飛ばせます。

今お金があればいいのです。

再建手段として法的整理か私的整理かは、過去の借金の返済方法を話し合う手段にすぎません。

あ~あ。すでに「官僚主導」 で公的資金注入の道を歩んでいる。

最終的に公的資金が必要なら、会社更生法後でも入れればいいじゃないか?(外国資本も興味があるんですよね)その方が大事な税金の毀損可能性も少なくなるのではないか?(法的整理知っている人なら納得するはず)

 

さらに

識者からも指摘があるように、安易な年金カットを法律で強制的に実施するとなると、「政治主導」 で日本企業のビジネスモデルが崩壊するきっかけを作りかねない

(転職歴のある私が言うのもおかしいが、年功序列で退職金をもらって立派な老後を送るサラリーマン像が、法的には非常に強いはずの退職金が安易にカットとなり、またひと悶着が起こりそう。もっとも実際破たんした場合は、スポンサー企業の作る受け皿会社なんかに異動させる時に、雇用継続を条件に退職金放棄のサインをもらうんですね)

 「JALだから(年金カットは)仕方ない」、がオールドエコノミー型日本企業への一般的波及を懸念します。

JALの今日の事態は、過去の労働者が怠けていたからなのか、経営者がだらしなかったからなのか、自民党と政府がだらしなかったからか、年金受給者だと発狂するだろう。少なくとも一生懸命働いて定年まで勤め上げて、 老後設計が乱される。

こんなことが起これば、私はますます自分の老後の厚生年金が「徳政令」のような形で奪われるんじゃないかと思います。

JALのOBは年金をもらい過ぎ、とか、OBも詰め腹を切れ、という問題以上の一般的波及を大いに気にしてしまいます(ただし、東洋経済の最新版によると、年金財政危機は民主党が世論を恐怖に陥れた張本人で、心配するほどでもない、との特集がある)。

 

この「オールドエコノミー型年功序列的な報酬体系(退職金を含む)の崩壊(または労働条件の維持)」は実は英国では、英国経済復活のきっかけを作ったというから興味深い。

英国でも労働組合が強く、解雇、雇用調整は難しく、永らく 「英国病」 と言われる経済低迷があった。

 

サッチャー保守党が比較的雇用調整を行いやすい法制に移行した(すみません、専門的なことはよく分かっていません)80年代末から90年代以降は10数年にわたるGDP成長を成し遂げる原動力にもなったと言われています。

(首切りがしやすくなり、優秀な外国人労働者を積極登用し始めた。結果的に経済が回復し、英国の富は増え、今では国内金融を除き、大英帝国時代の旧植民地(インド、香港、中東)などの経済成長の恩恵を受けている。HSBCとかリオティントとか)

  

民主党が労働者の法的な権利をぶっ壊して、市場原理主義的なきっかけを作るんですかね? 個別の政治家は(ダメ自民党との比較では)優秀そうな人が多い(特に若手)民主党ですが、どっち向いて走っているのかよくわからん。

  

日本では法的に雇用調整が難しい、というのではなく、「雇用を守るのが経営者の使命」 という社会的価値観の方が強そうなので、落ちるところまで落ちないと大きな調整はできないような気もする。

 

本当は、「落ちる前に手を打つ」 というのが(市場原理主義でなくとも) ただしいやり方でしょうね(トヨタ、ホンダ等の期間工解雇等は、選挙も近かったので、「弱者切り捨て」 とか今回も言われましたね)。

 

健康や医療の世界でも、お医者さんに出向くと 「なぜもっと早く来なかったのですか?」 という会話をよく聞きますね。

診断は決まって、予防。

 

国の医療方針も予防第一主義(これ以上税金を投入できないから)。「健康のため」 という言葉に人々は非常に敏感である。

 

経済政策も対処療法(貸し渋りするなとか。リレバンってどうなったの?)よりも予防的なものに力を入れていく方向性を見せてほしい。いつも後手に回っている。学習効果が見られない。ダイエーであれだけもめたのに。

 (普段からの予防がばっちりの)ホンダがこの時期でも黒字を確保していて、結局人々はそういった強い企業を応援し、製品を好んで買っているような気がする。古い価値観に固執していては、生き残れない。企業が生き残らないと何も始まらない。生き残れない企業はやっぱり淘汰されるしかない。自然界でもそういったサイクルが新しい芽を生んでいる。

 

科学、医学でも通じることが日本経済で通じないというのは情けない。

 

私の民主党株の「予想PER」が選挙前、選挙直後は40倍ぐらいあったのに、急落した。






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Last updated  2009/10/30 01:21:05 AM
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