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カテゴリ:コーポレートガバナンス
1月の米国自動車販売台数が発表された。年換算ベース11百万台と昨年より+15%増だった。ただし、レンタカーや卸向け売り上げが多く、個人向け直接販売はそれほど振るわなかったようだ(個社の粗利は大したことなかった)。 市場全体、GM、フォードには回復の兆しがはっきりしつつある一方、トヨタはマイナスに沈んだ。 前年同月比ベース
GM +14% フォード +25% トヨタ -16% ヒュンダイ +5%
もっとも昨年の1月といえば、デトロイトスリーは経営破たんするとかしないとか、米議会の公聴会に融資申し込みの説明に、「コーポレートジェット」で駆け付け、ヒンシュクを買うなど、「経営品質」にも疑問の目が向けられていたころの話。
1年経過すると、人の心は変わるもの。今やフォードは飛ぶ鳥を落とすかのような株価の勢い(1年で5倍以上の回復)。GMも黒字化、公的融資返済、再IPOが視野に入っている。
トヨタは 「製品の品質」 に万全を期するため、主力車種の生産と販売を自粛したため、上記のような下落に見舞われたもの。
しかし、日本のマスコミは書かないが、ウォールストリートジャーナルをよく読めば、トヨタは全体で-16%の減だったが、トヨタ部門が-19%減で、レクサス部門は+5.4%と記載されていた。 うわさで決めずに事実で判断しよう。トヨタ車は決して米国の支持を失ったわけではない。 「トヨタ」という名前だけが、独り歩きしている可能性もある。
それよりも、人々は「トヨタ問題」が片付くまで、自動車ショールーム行きを控えるなど自動車販売全体に影響が出かねないことをあちらの専門家は指摘している。今、自動車販売が腰折れすれば、景気全体に影響を与えかねない。 さらに、自動車が日常の足であるアメリカ人は修理もいいけど、早くしてくれないと不便になってしまって、「もういいや」って気持ちになりやすいとか。 したがって、(トヨタが今後、いろんな面で立ち直れば)今回の騒ぎが一時的なもので収まる可能性も十分ある。 油断してもいけませんが、人のうわさも75日って万国共通かな? この際プリウスも何でも膿を一気に出すことが肝要。 GM車だって売れるんですから、1年たたないうちに。必要以上に暗くなることはない。
ただし、危機発生後のトヨタの対応は、「経営品質」に疑問を投げかけるものだった。 消費者や投資家は副社長の話ではなく、御曹司自らの言葉で今回の顛末と今後の決意を聞きたかったのではないだろうか? 「社長に迷惑をかけてはならない」という発想は社内の論理で、社外の論理はやっぱり、代表者が、自らの言葉で「安全」と「安心」を誠実に語るべきだと思う。
日本でも数年前から頻繁にトヨタ車のリコールがあったものの、マスコミや当局はあまり問題を大きく取り上げなかった。こういった「甘やかした」面は日本自身も反省すべきだろう。週刊ダイヤモンドの特集で少し見た程度だ。 サッカーの日本代表記事でも、小沢問題でも思うのだが、マスコミの偏った報道はうんざりだ。株式投資の場合、だから投資チャンスに恵まれる、という点もあるが。今回もアメリカの罠にはまったような記事の書き方だ。
もう一点。中間選挙を控えた大事な政治問題として、米国のスクラップインセンティブプランで一番売れたのは、トヨタカムリであり、ホンダアコードだった。さらにヒュンダイは大躍進した。 一方、日本の同じ買い替え減税では、外国車が排除されているという「苦情」が政治的に寄せられていたが、日本側は「そんなことはない」と取り合わなかった(韓国でも同様の状況にあった)。1年前は「バイアメリカン運動」はダメだとか言ってたくせに。
あまり勘繰りたくないが、しっぺ返しにあった可能性もある。
ただし、フォードの株主として一言。日本なんかで売る努力する予算があるのなら、インドや中国でもっと売ってくれ。どうせ日本市場は縮小するんですから(アメ車に対する偏見も大きい)。費用対効果を考えると今や、必要以上に日本市場で頑張ることは、無駄な努力といえる。 フォードの株主も社員も、多分、中国で生産しているフォード車の一部が今回リコールされたペダルと同じ会社で同じスペックだったのではないか、といわれており、リコールになるかどうか、私も含めて戦々恐々としており、トヨタ乗換キャンペーンなんて悠長なことを思っている人はいないだろう。
しつこいようですが、レクサスの売り上げ増加を景気回復のバロメーターの一つと考えている私は、米景気回復に、また一歩自信を深めました。 御曹司がきちっとした対応をとってくれたら、投資を考えたのに。 (アメリカの部品メーカーのCEOは、該当箇所の部品について、「トヨタの設計だった」 という発言がWSJに掲載されていましたが、日本の部品メーカー社長なら絶対言わないなあと思ったのは私だけでしょうか?) トヨタ側にも謙虚になる必要性は十分あると思いますが、やればできると思います。悲観しすぎることもない。
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