バベル
映画「バベル」を観た。 モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本と世界中の様々な場所を舞台とし、それぞれ異なる人々が物語をほぼ同時期に展開する。 と言っても、それらは全く関係が無い訳ではなく、一つのつながりがあるんだ。 一つの事件からいくつもの物語が派生して、それらがクロスオーバーしていく。 一見混沌としているが、それをうまく一つの映画としてうまくまとめられている。興味深い構成だ。 「バベル」と言うタイトルは旧約聖書の「バベルの塔」からきていると思われる。 大きな塔を作った人間に怒った神が、人間に複数の言語を与えてバラバラにしてしまったと言う神話だ。 映画でも手話も含めて複数の言語が飛び交う。 そしてそれらは往々にして通じない。 それが誤解を生む。 モロッコの少年にしろ、メキシコに行った家政婦にしろ、日本の女子高生にしろ、特別悪いことをした訳ではない。 ただ少し後ろめたいことがあっただけ。少し愚かだっただけ。 人は一生懸命生きようとする。 でも心が通いあうとは限らない。愛情が満たされるとは限らない。 それが苦しみとなる。 世界のどこでもそういう構造は変わらないのだ。