週間アウトルック(高金利通貨1:7月10-17日)
リスクマネーの過度な上昇は一服中国GDPに目先の方向性を探る展開か前週末からのオセアニア通貨は上値の重い展開に。世界規模のリセッションが長期化するとの見方が高まったことで、リスクマネーの巻き戻しが強まった。また、ZARも金や白金価格の頭打ち感から大きく下落した。来週は、自国の材料もさることながら、16日に発表される中国4-6月期GDPの結果が、リスクマネーの目先の動向に影響を与える公算が高そうである。世界の景気回復への期待感を高める呼び水となるか、その結果が注目される。豪ドル:足もとの国内経済は底堅いが、目先調整も 前週末からの豪ドルは上値の重い展開。2日の冴えない米雇用統計の結果を受けて世界経済の早期回復への懸念が広がりを見せたことで、対ドルでは0.77ドル前半、対円では71円割れまで下落。しかし、7日のRBA声明文で「国内経済は予測されたほど悪くはない」との見通しが示されたほか、9日の失業率も思ったほどの悪化に繋がらなかったことで、その後は下げ渋った。 過去3ヶ月の新規雇用者数の合計は-4300人と他国に比べて安定しているほか、ウェストパック消費者信頼感指数の改善など、豪州経済が回復の兆しを強めていることを示唆する結果となった。これらの結果を受けて、年末には利上げの可能性さえあるとの観測が浮上してきたことは、豪ドルにとってサポートとなろう。ただ、失業率の悪化基調が続いている現状でRBAが金融政策を変更する可能性は低く、利上げ見通しについては未だ流動的との声も。また、世界規模でのリセッションが長期化する懸念が残るほか、商品市況の頭打ち感が引き続き相場の重石となろう。来週は独自材料に乏しいことから、16日の中国4-6月期GDPが短期的な相場の行方を左右しそうだ。同指標が予想を下回れば、豪ドル円は節目である70円を割込む場面も予想される。ちなみに、予想中央値は現状+7.8%となっている。NZドル:豪州とのファンダメンタルズのギャップが引き続き重石 NZドルは高値もみ合いから下離れリスクも。NZドルも豪ドルと同様に景気回復への期待が後退したことで、リスクテイクの動きが縮小。対ドルで0.62ドル前後、対円で57円前後まで下落した。 住宅市場に回復の兆しが見られるほか、財政出動、更には金利の下限が示されていることで先進国との金利差が保たれていることは、NZドルにとって下支え要因。ただし、豪州とのファンダメンタルズの格差が徐々に広がりつつある中で、雇用が減少傾向を示しているほか、企業収益の改善が足踏み状態であることは危惧される点となろう。13日の小売売上高や16日の中国4-6月期GDPの結果次第では、対ドルでは0.60ドル、対円では55円までの下振れも想定しておきたい。ZAR:上値追いは一服、下落リスクが強まるか ZARは調整が進む可能性も。先週末からのZARも大きく調整が入り、対ドルでは8.2ZAR台、対円では11円前半まで下落。経常赤字が依然として高水準を続けるなど、対外ファイナンスに依存する経済構造ゆえに、世界規模のリセッションの長期化は、資本の海外流出に結びつきやすく同国にとって懸念材料。また、高止まりするインフレ率から金融政策の自由度が狭まっていることも同国にとっての危惧となる。更に、1日には同国蔵相が今年の税収が、予想していたより500-600億ランド下回る可能性があることを指摘するなど、財政を取り巻く環境は明るいものとは言えない。また、労働者の無期限ストライキの問題も重石となろう。仮に強含んだとしても、その上昇幅は非常に限られるものとなりそうである。逆に、下落リスクに注意を払う必要性が高まりつつあるようである。