「プラナリア」
題名:「プラナリア」著者:山本文緒発行:文春文庫頁数:283読みやすさ:3/5おすすめ度:3/5 山本文緒さんの短編5本が収録されています。 まあ、短編だからって事もないのでしょうが、どれもみな”起承転結”の”転”で終わっているんです。読んでいると「ふ~~ん、へーそうか!っって終わりかい!!」と突っ込んでしまいたくなりました。 確かに余韻がビ~~ンと残る感じで、そういった効果を意図して書かれたものだと思いますのでしかたなく納得しました。 タイトルのプラナリアは、主人公の女性が若くして乳ガンになり、手術成功後のやや屈折した心のありようを描く内容でした。”屈折した”とはいえ、この辺が著者が訴えたい本音の部分であり、特に女性の心の奥底にある独立心と依存心の葛藤のようなものを感じました。 男の私にはわかり得ない複雑な心模様ですが、女性が読んだらまた感じ方が違うのだと思います。ストレートに伝わるような気がしますが、わかりません。 他の4編も設定の違いこそあれ、女性の複雑な心模様を描きながら、突然ストーリーが終わって「はっ!」としてしまう流れが印象に残りました。