★限り無く正確な「噛み合わせ」を把握する為に、、、★
●NATシステムをより、実践的、かつ、臨床的に活用するためには、同時に、より正確な咬合再得が必要条件となってくる。 限り無く正確なセントリックを把握する方法としては、1991年、ドイツではコンピューター制御による顎運動測定装置が発表されている。このシステムはDr.Dr.Klett氏が開発した、光学センサーをコンダイラボックスに応用した"Condylocomp LR3"と呼ばれるものである(写真下)。 ●Condylocomp LR3 :光学センサー型コンピューター顎運動測定装置は基本的に従来のヒンジロケーター、および、パントグラフ・システムの術式と同様、習慣性蝶番軸の平均値を測定し、ハンドオンによるセントリック誘導法(ドーソン法)を応用し、仮のセントリックを求めた後、実際に、前方運動、左右側方運動、および、会話時の顎運動を促すことによって実践的セントリックを求めるシステムである。これによって、前後のセントリックポジションには微妙なズレが生じるが、コンピューター上での逆算システムによって、このズレを修正することなく、リアルタイムで顎運動の分析、および、個々の咬合器への調節値の算出が可能となる。●Condylocomp LR3の特性としては大別して次の2つの機能を有する。 1.顎運動分析: ・ディスプレイ表示による下顎運動の分析・咬合診断への活用 ・セントリックポジションの確保 2.咬合器へのデータトランスファー: ・スチュアート, Kavoプロター, パナデント, SAM, ハナウ, ディナー など各咬合器へのセットアップ用全データの取得: ・Condylocomp LR3パントグラフを用いた上顎模型の咬合器上への装着 ・コンダイラボックスの調節値; 矢状顆路角, ベネットアングル, イミディエイトサイドシフト量, 後方運動量 ・インサイザルテーブルの調節値; アンテリアガイダンス, 左右犬歯誘導(or グループファンクション) 3.患者リストの作成:個々の患者に応じた咬合分析、および、診断情報の管理●このシステムはDieter Schulz等によってさらに改良され、『個々の咬合器上へオンライン・システムでの情報伝達』が可能となった。これはCondylocomp LR3と咬合器のコンダイラボックスをオンラインで結び、さらに、コンダイラボックスのセントリック調節スクリューを微妙に可動させることによって、コンピューター・モニター上でリアルタイムでセントリックの位置の移動、確認することができる。それによって、より正確な実際のセントリックの獲得が可能となる。●NFRのセントリック(D.SCHULZ、Dr.Velsen,Uni.Duddeldorf 「Okklusions Koncept」より引用)★次回は、Kavo Ewl.より発表された"DIGMA"(超音波ナビゲーション型コンピューター顎運動測定装置について触れたい。◎『月刊「歯科技工」別冊 :目で見るクラウン・ブリッジ ~トータルにとらえる歯のかたち~ PartIII 歯牙形態を“作る” 臼歯編 大畠一成 著』より引用、改編つづく