「吉原御免状」バカ・煎餅GETへの道(3) ~ROAD TO OSAKA~
20分の休憩終了第二幕でありんすえここにも既に書いていますが「吉原御免状」の提灯の圧倒的な赤が目に飛び込んだ瞬間hakapyonは泣いてしまいました一年前観た「カメレオンズ・リップ」が2階最後尾のいちばん後ろの席で役者さんが遠くて遠くて(でも十分うれしかったけどね)「いつか最前列でみてやるぞ!!」と野望に燃えていたあれから1年半が過ぎこの最前列にいたるまでの経過を走馬灯のように思い出し…ではなくて本当に最前列の中央(しかも大阪公演)に座っている自分のあまりのバカさと視界になにも余計なものが入らないのでまるで役者さんたちが自分だけのために芝居をしてくれているようなとんでもない錯覚に陥ってしまい心臓がバクバクと鳴り体はがくがく振るえぼろぼろと泣いてしまったのでありんす提灯を持っていた方たちからは見えていたかもしれない恥ずかしい(><)砂かぶりの桟敷席は誠一郎サマ以外にもほかにも細部が見えて見えて見えすぎちゃって新発見の嵐!!まずは別の日に最前列で見ているNちゃんによる宿題「ウォーリーを探せ!」ならぬ「じゅんさん&聖子ちゃんを探せ!」このふたり最初の吉原の街のシーンにも出演しているんですよ!じゅんさんは「吉原御免状」提灯の横聖子さんは地味めの茶系の着物を着て客引きのやり手ババアみたいな役それに飴売り義仙も最初から既に奥でスタンバっていて新吉原の初日の喧騒に合わせていつのまにか街中に侵入しているのですううういやあああん私はいったい何を見ていたのだああ既に4回見てるのにまったく気づきませんでした(^^;(もしかして…皆さんはとっくに気づかれてましたか?)前の席だと役者さんの体や表情、パーツチェックばかりしてしまいそうだなあ、なんて思っていたのですがとんでもござんせんカメラが奥にピントを合わせるように手前で芝居するメイン役者さん以外の奥の、またその奥のいち役者さんの芝居までちゃあんと見えるのです勝山に見とれる男それに嫉妬して男の腕をつねる連れの娘さん通りすがりの客を無理やり格子戸に引っ張り込む聖子ばばあその他役名も無き役者さんひとりひとりが己の領分を守り、誇り高く役を生きているその懸命な姿に感動したしひとりひとりの芝居が吉原の朱い格子戸とともに幾重にも重なってさらに今まで見てきた上手と下手からの遠景二階からの俯瞰の風景そして今日の正面まん前の近景が組み合わさり当時の吉原の町の様子がリアルに感じられ「吉原御免状」がどんどん立体的になっていくいろんな席で何回も見るとこんな風に作品が膨らんでいくのだということにも感動した*「殺しておしまい!」と叫びながら松雪さんが目の前にやってきた撃たねばならぬ敵に惚れてしまった女しかしその気持ちを封印し男を殺そうとする女の修羅透き通るような白い肌つぶらな瞳は涙で潤んでいる誠一郎と同じ心に剣を持つまっすぐで儚い人だなあ、と思ったそそくさと勝山が過ぎ去ったあと白粉の残り香がふんわりと漂った古田義仙さらに凄みを増しています怖いです、ほんとうに怖いですでもその朗々とした悪の声がなんとも色っぽい捨て台詞のように誠一郎の名前を呼ぶ「松永っ」という声と「いくら斬っても闇をためぬお前のほうが化け物だ!」という台詞そのものと誠一郎の修羅に火をつける「殺したのは松永、お前だぞ?」この言い方と声がすごく好きこのひとの色気は誠一郎と真逆だなあといつも思うさらりと流れていかないところが魅力なのだ義仙の脚は白いしかもむっちりもち肌できめが細かいでもちゃんと足首は締まっているやはり「いくさ人」の脚切れ長の瞳の色がグレイに見えた(堤さんは茶系)色素が薄いサマータイプなのだろうかこの虚ろな瞳の色が彼の狂気を反映させているようでなお、怖い*大好きな甚内の殺陣の場面長く太い文様の入った先が二つに割れた唐剣をくるりと廻し時には笑みを浮かべながら楽しそうに人を斬る(誠一郎にはない表情)しかし、東京楽では唐剣をすっとばしその前観たときは唐剣をキャッチできずに落っことしていた前科がある甚内さん内心この唐剣の殺陣はひやひやしながら見ていたのだがこの日の甚内の殺陣の動きがあまりに「綺麗」だったのでああ、これは大丈夫だ役者を信じようと自然に思えたなので途中からとても安心して信頼してその後の「殺陣」を観ることができた今まで舞台を何回か見てきたがこんな感覚は初めてだったのでとても不思議だったなんだろう、これそして殺陣への信頼感が物語への集中を呼んだのか誠一郎と義仙修羅同士の闘いの気迫を全身で受け止めることができた(様な気がする)義仙は眼の色が変わりみるみる悪鬼のごとき形相となり誠一郎の咆哮は人の声とは聞こえず天から鳴り響く雷鳴のような現人神の響きであったそれから信頼感といえばおひょいさんこの夜のおひょいさんはいままで観た中での「ベストオブおひょい」台詞もしっかり入っていたしひとことひとことに味があって哀しくて、やさしくて突き放しているようで包み込んでしまっているいつものおひょいさんを観るときのどきどき感はやはり無くなっていてすっかりおひょいさんを信用してしまっていた終盤はおひょいさんから目が離せなかった目がきらきらと光っていた「あんたしか、いねえよ」この物語の基盤をなす重い台詞をあんなに軽く、ふわりと投げかけられる霞のようなじじいおひょい幻斎サイコー!!^0^*誠一郎の闇を、傷をそして涙を「吉原が、うけとめる」女郎たちが総出で誠一郎を受け入れる場面涙で眼が光っている女郎がいたおひょいさんも泣いていた誠一郎も泣いていたもちろんhakapyonも泣いていたカーテンコールでその涙の量はさらに増加顔がしょっぱくなるまで泣きこんな素晴らしい芝居を見せてくれてありがとう、と渾身のチカラを込めて拍手したいちばん前でヘタしたら役者からみえちゃうだろってのに涙が止まらなくて困ったもし、もしもだよ彼らの眼にhakapyonが映っていたのだとしたらさそかし不細工な顔をしていたことであろうよ誠一郎の哀しみと怒りの修羅の迫力役者のイキルチカラを正面からまともに喰らってしまってカーテンコールを終えた観劇後ものすごい脱力感に襲われしばらく席を離れることができなかったようやく一番最後に会場を後にしたがふらふらになってしまいまっすぐ歩くことができなかったアンケートを書いているときもまだ酔っ払った後のような状態で気が動転していたのか左手にシャープペンをぶすりと刺してしまったこの傷はいまだに残っている少し、痛む何かの拍子でこの傷を見るたびにhakapyonは10月22日の奇跡のような吉原の夜を思い出し幸せな気分になる