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カテゴリ:瑞典生活
本日のシェレフテオは、昨日のどんよりしたお天気とは打って変わって晴れ。ただ最高気温は4度と冷え込んできたようです。今週は空模様のように、悲喜こもごもの一週間となりました。
悲 外国に住むというのはやはり楽なことではありません。特に今回私はここでは“移民”という扱いになります。 私は日本で言語聴覚士、という、ことばのリハビリの仕事をしていました。ここスウェーデンにも同様の資格があり、logoped(ロゴペード)といわれています。スウェーデンでこのlogopedになるためには、大学のlogoped学科で4年間勉強し、全課程を修了した段階で有資格者となります。ちなみに日本では3,4年課程のa)大学教育、b)専門学校教育、c)大卒者対象の2年課程の専門学校教育がありますが、その後多くの医療職と同様国家試験があり、合格後有資格者となります。私はc)の教育を受けました。 スウェーデンでは、EU加盟国以外の外国人の有資格者であっても、1)高校卒業レベルのスウェーデン語をマスター、2)補習授業を受講、そして、3)スウェーデンの資格申請 という手続きを踏むことができる可能性があります。 そこで、私は先日2)の補習授業受講資格を求めて必要書類を揃え、審査機関に送りました。審査には通常3ヶ月はかかる、と聞いていたので、のんびり構えていたのですが、わずか2週間で返事が返ってきました。そして結果は、“却下”。 却下理由として、“私が受けた専門学校での2年間の教育をスウェーデンの4年間の大学教育と比較することはできない”、という記載がありました。 但し、ここまで読んだところで、進路指導の先生の助けを得て書類を揃えていたにもかかわらず、私は2)の補習授業受講申込書ではなく3)の資格申請書を送ってしまっていたことに気づきました。 そこで日を改めて、担当者と連絡を取ってみたのですが…。「あなたが例え別の申込書を送ろうと、結果は同じです。」とあっさり厳しい口調で門前払いを受けてしまいました。 日本の教育、国家資格等スウェーデンと異なるシステムについては申請時にも手紙を添付し、電話でも再度伝えたのですが、とにかく「あなたは2年間しか勉強してないでしょ。それをスウェーデンの4年制大学教育と比較することはできません。つまり、補習授業受講資格はありません。」の一点張りでした。 スウェーデンの4年間の専門教育と比べて2年間が短いといわれるのはもっともですし、ことばのリハビリの仕事を外国で目指そうとすることは非常に大変なことだ、ということはずっと思ってきました。 だからこそ、しっかりと時間をかけた補習授業を受講できれば、と思っていたのですが…。もちろん、場合によって申請が却下されることもある、と記載はあったものの、そうなるとしても、日本の教育制度、資格制度等に関してしっかりと時間をかけた審査を経てからだと思っていました。正直なところ、門前払いとなってしまったのはやはり腑に落ちません。 この結果には一応異議申し立てをすることが可能ですが、以前ビザが却下されたときの苦い経験を思い出さずにはいられません。 現在スウェーデンでlogopedを目指したい場合に私に残された唯一の道は、他のスウェーデン人と同様大学を受験して、合格することです。このためにまた高校レベルのほかの科目の履修も必要となりそうです。但し、もし合格した暁には、日本の教育を多少考慮してもらえる可能性もあるかもしれない、とのことです。 そんな矢先に、以前担当していた失語症という言語障害をかかえた患者さんが、今も私の苗字を書くことができて、家庭でも時折話題にしてくださっている、ということを聞きました。 “郷に入れば郷に従え”、ということわざもあるように、ゼロからもう一度スタートするのが当然、といわれるのも最もなのですが、日本のことがゼロになってしまうのはやはり切ないなぁ、と感じてしまいます。 日本からスウェーデンに移ってこられた方の苦労された話や、日本に限らず自国での教育や仕事を経てこちらに住むようになった移民の皆さんが同様の扱いを受けた話をこれまで聞いてきましたが、これが外国に住むということなんだな、ということを痛感しています。 喜 長々と“悲”から始まりましたが、次は“喜”で。今月より週に一度、日本語を教えています。全7回の日本語入門コースで、参加者は高校生から社会人までとさまざまです。昨日は第3回目でしたが、ひらがなの練習と平行して「げんき」という教科書を使いながら授業を行っています。 日本語教師の通信教育を始めたものの現在一時休憩中、ましてや教授経験はゼロの私です。私なんかでいいのだろうか…という不安の中のスタートで、授業の準備も毎回一日仕事、試行錯誤なのですが、これまで勉強したことがある分野と共通する内容も多く、優しい参加者の皆さんに支えながら、ともに学ぶ日々です。 昨日の授業のひらがなの練習中、ある男の子が、ひらがなについて、「基本的に上から下、左から右に描く、という共通ルールはシンプルだよね。」といいました。 でも申し訳ないことに、私は彼が言った意味がよくわからず、勝手に漫画の話?と思ってしまいました。結局彼の隣に座っていた女の子が別の言い方で言い直してくれて、ようやく理解しましたが、なぜそう勘違いしたかというと…。 もちろんスウェーデン語の理解力が足りないこともあるのですが、彼がひらがなを「書く」ではなく、→「描く」といったからなのです。私にとってひらがなは、文字です。でも、彼らにとってひらがなは当然ながら未知の文字で、絵を描くような感覚らしいのです。なるほど~という瞬間でした。 来週がまた楽しみです。 最後に、8月の終わりに友達からいただいたガーベラの鉢、すぐに花がしおれてしまい、2つあった蕾も全く咲く気配なく一ヶ月以上が経ったのですが、なんと、昨日花が咲き始めたのを発見。 今、ゆずの歌“センチメンタル”の一フレーズ、「この胸に真実の花を咲かせよう」が頭の中を流れています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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