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カテゴリ:業務日報
一人でお初天神の夕霧そばにて夕食。ここの蕎麦はウマい。蕎麦を待つあいだに板わさをつまむ。夕霧そばを出てお初天神を通り抜けようとすると偶然Sさんに会った。
Sさんはオレが以前勤めていたアダルトグッズの会社で商品の開発なんかをしていた生粋の技術者である。モーターとか電池ボックスとかギアとか配線とかが無条件に好き。肝心の女は好きなのかどうか最後まで分からずじまいであったが、女とバイブとどちらが好きかと問えば、あっさりバイブと答えてしまいそうな人である。まるで少年がラジコンを喜んで作るようにバイブのモーターをあれこれ入れ替えたりしては「うーん・・熱問題が残る・・」などと学者のような顔つきでコード剥き出しの試作バイブをしげしげと見つめていた。昔、この日記に書いたバイブ人体実験の主人公でもある。オレは職人肌のSさんが好きだったが、仕事を辞めてからは会うのは初めてであった。しかも偶然お初天神の境内で。 オレらは境内のベンチに腰掛け、缶コーヒーを飲みながらしばらく昔話や近況報告をした後、Sさんが思い出したようにオレに言うた。「昔な、春駒くんがよう言うてたネット対応のバイブの話あったやろ?」「ああ・・USBバイブですよね」「あれ、今アメリカでホンマに開発されてるんやな」「・・でしょ。僕もかなり前にネットニュースで見ました。やられましたよねぇ」「ははは。あれ実際にウチらが動いてたらひょっとしたら・・なぁ」「いやそらもう、今ごろ僕らエログッズの勝ち組やったんちゃいますかね。Sさんも六本木ヒルズでバイブ作ってたかも分かりませんねぇ」と笑いながら空き缶をゴミ箱に投げたら見事に外れた。カラコロン。人生はタイミング。次行こ、次。 何年か前、会社で一時期オレが「ネット対応のバイブを作りましょう!」と息巻いていたことがあった。復活前のこの日記にも書いたような気がする。パソコンのマウスのようにUSB接続で動くもので、普通のバイブのコントロールすべて、つまりオンオフ・モーターの強弱・回転方向などを、インターネット経由で遠隔操作できる。最愛の二人がたとえブラジルとアラスカに分かれて住んでいても、この地球上にいる限り、彼のマウス操作で彼女は快楽へと導かれるのだ。別にホモカップルでもええけどな。純粋な二人の幸せをサポートするも良し、エロチャットの経営者が導入するも良し、でオレは絶対に売れると断言したが、当時の社長以下メンバーがあまりにインターネット自体への理解がなく、壮大なロマンがいまいち伝わらぬまま有耶無耶に流れてしまったのだ。唯一Sさんだけは分からんなりにも「オモロそうやな」と静かに応援してくれてたんやけどな。その後しばらくしてからHot WiredのITニュースかなんかでアメリカで同じようなアイデアを実現化しているメーカーの記事を読んだ。まぁ今から思えば遅かれ早かれ誰もが考えつくアイデアではあったかもしれん。 今なら当時と比べもんにならんぐらいにネット環境も整備されとるので、もっとオモロイこともできそうや。たとえば『USB対応エロ・グローブ』。二つでワンセットのグローブ(手袋)をカップルで一つずつ持つ。PCに接続したグローブにはセンサーが付いていて指のどの部分が動いたか分かる。彼が動かす指の動きは、そのままネットを通じて彼女の持つグローブに伝わる。受け身側の彼女は、椅子に座って股間にグローブをあてがう。彼は言葉を交わさずともWebカメラで表情を確認しながら、彼女を優しく丹念に愛撫することが可能になるのである。これで、従来のようにせわしないだけで実のない文字によるエロチャットは不要。愛する二人はもちろん、エロチャットやオンラインゲームなど様々な活用シーンを提供することができ、お茶の間留学ならぬ、お茶の間風俗の台頭も容易に予測することができるのです。 昨今では猫も杓子もあたりまえのように不倫に興じておるが、夜中に主人の寝ている隣の部屋のPCの前で、不倫相手が知り尽くした肉ひだのポイントを丁寧に指で摩り摩りしてもらうこともできるのである。リアルタイムで。奥様はモニターに彼のセクシーな顔を思い浮かべながら、そ知らぬ顔でYahoo!ニュースでも眺めていればいいのです。もちろんあとで彼のもスリスリしてあげましょう。男性用にはグローブにオナカップを装着できるオプションも可能。 さて、エロいブログを「エログ」と呼ぶことから、この商品は『エグローブ』と呼んでみる。エローブではないところがミソ。エローブよりはエグローブのほうがヒビキがエロイ。アダルトグッズのネーミングは「ダサいほうがよく売れる」。これは間違いない。普通のセンスから二ランクぐらい下げて丁度ええ。たとえばこの商品なら他には「指キタス」とか。ちょいサブぐらいが丁度エエのである。 もし実現化したい人がおったら、ちゃんと企画書書くで。 A4で6ページ。二十万円也。 以下、目次。 ■企画概要~遠距離の愛を育むラブ・ガジェット~ ■USB対応エロ・グローブ『エグローブ』の詳細 ■ソフトウェア開発/舞台照明も動かせるプログラムの利用 ■販売ルートについて・・・アダルトショップ以外も販路に ■広告チャンネルの選別/小売に頼らない/大口購入先のご提案 ■さまざまな活用シーン もしパクって成功したヤツは、ヒロタのシュークリームでも持ってお礼を言いに来なさい。 そういや『エグローブ』は誰はばかることなく一般の量販店で販売する方法もあるな。 それは秘密や。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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