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野の花も日々あれこれ考える

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2006年10月27日
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カテゴリ:暮らしのあれこれ
私は、たぶん、どちらかと言うと言葉の使い方にこだわるほうかもしれない。
でもそれは、私自身が使う言葉についての話であり、周りの人が使う言葉は(よほど失礼な場合や、どう考えても悪意が感じられる場合以外は)あまり気にしていない。

私のこだわりは、「日本語の正しい使い方」ということではなくて、音の響きの良し悪しや、ニュアンスの伝わり方の問題だと思っている。
言葉は時代とともに変化する道具なので、便利なほうへ、使いやすいほうへ流れても、それは当然のことであり、誰にも止める権利なんてないのだ。

ただ、私はいつも、自分の好きな言葉を厳選して使っていたいと思う。
それはものすごく自分勝手な尺度であり、時にはわざと間違った使い方でシニカルに表現する場合もあるし、その間違いそのものを楽しむこともある。
要するに、私にとってはやはり「好き嫌い」「面白い・面白くない」が重要な判断基準なのだ。

特に好き嫌いの激しく分かれる言葉のジャンルに略語がある。

略することで音の響きが良くなったり、ちょっとお洒落感が出たり、非常に便利になるものはとても好きなのだが、音のセンスや語呂が悪かったり、返って意味が分からなくなるようなものは、自分が使うのにはすごく抵抗がある。
(以下、自分が使うことを前提として話を進めたい。重ねて言うが、周りの人が使うのを聞くことも嫌ということではない。)

例えば「N響」「大フィル」「ゲネプロ」(ただし、これ以上縮めて「ゲネ」と呼び捨てるのはちょっと品がないような気がして好きじゃない)「化繊」「朝練」「エビチリ」「かに玉」「日ハム」…こういうのは良くできてるなぁ…と思う。
音がきれいだし、そのものについての愛着が感じられる。
略していることさえ時々忘れて、それが本名であったかのようにさえ思われるものもある。

だが、「豚こま」は嫌いだ。「科捜研」「メアド」「安保」「大店法(もう使われていないが)」「海保」「置き勉(教科書などを学校に置いておくこと)」「シャー芯(シャーペンの芯。シャーペンという音自体がもうすでにあまり好きではないのだ。)」も音や語呂が良くないと思うし、第一、意味がとても分かりにくくて好きじゃない。

科捜研なんて、略している意味がないくらい音が長いし、メアドなんてヘンな音で呼ばなくても「アドレス」といえばメールアドレスの事だと分かるじゃないか、と思ってしまう。
「だいてんほー」は若い頃仕事で毎日関わっていたが、一般人にはなんのことやらさっぱりわからんだろう。
ヘタすると日本語だという認識もされないのじゃないかといつも思っていた。

「おきべん」に至っては、説明を聞くまでどんな字で書くのかさえ想像もつかなかったが、太郎の担任の国語の先生も日常的に「置き勉してもいいよ」なんて言うらしい。
国語の先生ならもうちょっとセンスのある略語を作ってくれれば良いのに…と思う。
いくらなんでも「おきべん」って…と思うのだ。

しかし。

実は数年前から、我が家でしか通じない名前でさかんに呼ばれているものがある。
それが「まんごぷ」だ。

「今日、買い物いくならまんごぷ買ってきてね!」と花子が言う。
「冷蔵庫のまんごぷ食っていい?」と太郎も言う。
「まんごぷ買って帰ります」と殿からメールが来る。

まんごぷ。
それは「マンゴープリン」のことなのだ。
それも、数多く並ぶマンゴープリンの中でも、アルフォンソ種使用で、大のマンゴー好きの我ら全員がおいしいと認めたものだけを「まんごぷ」と呼ぶ。

なぜ「まんごぷ」なんだろうと考えてみたが、おそらく「マンプリ」ではイメージが湧きにくいし、おいしそうじゃない。
「ごぷ」という音で終わるのも、なんとなくアジアンスイーツな感じがして、我が家ではしっくり落ち着いたのだろうと思う。
誰が言い始めたのか、今となっては分からないほど(いや、たぶん花子あたりではないかと思うが)まんごぷは我が家に定着してしまった。

あれだけ冒頭で音がどうの響きがどうのと細かいことを言っておいて、その節操の無さはなんなんだ…と、実は自分でもちょっと呆れる。
けれども、こういう言葉遊びが密かに流行る家庭は、きっと平和で幸せだということに違いないと、勝手に決め付けて満足している。

ただ、中華屋さんでデザートを頼む時につい「まんごぷひとつ下さい」と言いそうになるのがちょっと…。





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Last updated  2006年10月27日 18時17分48秒
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