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野の花も日々あれこれ考える

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2007年02月15日
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テーマ:生き方上手(688)
カテゴリ:暮らしのあれこれ
遠くの街に住んでいる大切な友人がお母様を亡くされた。

彼女は、奇跡的とも言える出会いを果たして、大人になってからできた親友なので、私は彼女のお母様にお会いしたこともないし、彼女とお母様がどのような親子だったのかもあまり詳しくは知らない。
だが、お母様の具合が良くないと分かってからの彼女の様子を考えると、お母様との別れは、彼女自身が感じていたよりもずっとずっと大きな悲しみだったに違いないと思う。

自営業のおうちに嫁ぎ、末っ子にまだ小さい子供のいる彼女も、たぶん私がすぐに両親の元へ駆けつけることができないのと同じ苦しみを抱えていただろうと思う。
もしかしたら、お母様がお元気なうちに、もっともっとあれこれして差し上げたかったと自分を責めたりしているかもしれない。

私も、もしも自分が身軽な独り身だったら、認知症の父やその介護をする母の力にもっとなれたかもしれないのにと、ふと思うのだ。
今の私の両親の置かれた状況を考えると、殿には悪いが、殿や殿の両親の世話や将来のことを考えている余裕は私にはない。
いっそ、子供達を連れて実家に帰ってしまおうか、という気持ちになったりもする。
そうすれば母も少しは介護の疲労から開放されるし、父も孫がいるという刺激で、少しは闘病のための意欲をわかせてくれるのではないかとも思う。


だが、友人のお母様の訃報にふれて、私は思う。
親として子供に望むのは、そんなことではないのだろうと。
彼女のお母様はきっと、立派に孫達を育てている彼女の姿を誇りに思っておられただろう。
そして、いろいろな苦労を乗り越えて、幸せな家庭を作っていこうと頑張る彼女を、きっと心の中で一番応援されていたに違いないと。


親になって、日々一番強く感じるのは、子供達が元気でいてくれることへの幸福感だと思う。
子供がいない家庭に、また別の幸せがたくさんあるのと同じように、子供がいることで感じられる幸せも、数えられないほどある。
子供が何かを頑張っている姿を見る時、子供がなにかを私にしてくれようとする時、「自分はこういう幸せを感じるために子育てをしているんだな」と思う。


それはきっと、人生の最終の時も同じではないだろうか。
私は自分が80歳のおばあちゃんになっても、きっと40代50代になった子供達のやることなすことを、幸せな気持ちで見るだろう。
そして、人生の締めくくりのうちの、ほんの少しの時間でも、子供達の顔を見ることができたら、それで充分幸せに違いない。
最後の瞬間にそばにいなくても、自分のために、どこかで心を砕いてくれることがあれば、私は親として大きな幸せを感じられるはずだ。


だから、きっと友人のお母様は幸せな気持ちをたくさん抱えて旅立たれたに違いないと思う。
親が子供に願うことは、きっと誰もみな同じだから。
家事に、子育てに、奮闘する彼女を、彼女のお母様はこれからずっと天国から笑顔で見守って下さるに違いない。
頑張り屋の彼女を、時には「あんまり頑張りすぎたらあかんよ」と緩めてくださることもあるだろう。


考えてみれば、親と過ごす時間なんて、生まれたときにすでにカウントダウンに入っているのだ。
私も、私が子供達に願うことを、両親が私に願っていると信じて、親不孝の穴埋めを一生懸命にやりたいと思う。





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Last updated  2007年02月16日 11時02分15秒
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