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カテゴリ:ライツ・オファリング
ㅤ今回は、実に久方ぶりのライツ・オファリング実施企業となったADワークスについて。
(ADワークス関連の日記) 〇ADワークス (その2) 〇ADワークス (その1) 0.ライツ・オファリングとは まずは、ライツ・オファリングについて、少しおさらい。 日本では、公募増資とか第三者割当増資などで、既存株主以外の者が有利な条件(時価よりディスカウントされた価格)で増資に応じるのが一般的。他の者に有利な分だけ(発行条件により程度の差はあれ)、既存株主は割を食うことになる。 また、議決権行使の観点からも、最近話題となった出光興産の経営者と創業家の争いのように、第三者割当増資などによって既存株主の権利が脅かされる場合もある。 ライツ・オファリングとは、既存株主に新株予約権を無償で割り当て、株主側に新株予約権を行使するか市場で売却するかの選択肢を与える増資手法。一般投資家が、新株予約権を市場で購入して増資に応じることも可能。 第三者割当増資や、通常の公募増資と比較しても、既存株主への配慮がなされ、公平性の高い増資手法と思う。 私なんかが素直に考えると、上場企業の増資は原則としてライツ・オファリングで実施するべきではないかと思うのだけど、実際に普及していない。それどころか、今回のADワークスは、実に2年3か月ぶりのライツ・オファリング実施例。 そうなったのには、若干の経緯があって、 本来、ライツ・オファリングを用いて欲しい、普通の企業の増資手法としてはなかなか採用されてい一方で、 債務超過など業績が不振を極めているとか、何らかの理由で上場廃止の猶予期間に入っているとか、そういう通常の手段では増資が困難な企業がライツ・オファリングを活用する例が多かったため、 東京証券取引所が頓珍漢な方向に規制を強化し、ライツオファリングが実施しづらくなってしまっているのが現状。(権利行使価格が時価を大幅に下回る設定となっている場合に株価の下落を招き既存株主が損失を被る懸念があるのだから、権利行使価格と時価との乖離率だけを規制すればよさそうなものなのに、それ以外に大幅な制約条件を加えている。そのせいで、業績が不振な企業はライツ・オファリングが使えず、MSワラントなどより悪質な増資手法を用いることになるので、既存投資家保護の観点からは逆効果。こういう想像力の働かない組織が東京証券取引所であり、日本の証券市場発展を阻害している要因となっているのではないかとすら思えてくる) (関連の日記) 〇ライツ・オファリング実施後のダメな子たち (東京証券取引所の頓珍漢な規制強化) 〇我が国におけるライツ・オファリングの定着に向けて(東京証券取引所) 1.ADワークスのライツ・オファリング まだ、ライツ・オファリング実施中なのだけど、途中経過をメモ書き程度に。 ADワークスは、富裕層向けに中古マンションの一棟売りなどを行っている企業で、ライツ・オファリングの実施は今回で3回目。 4月25日にライツ・オファリングの実施を公表。収益不動産の戦略的拡大などがが目的とのこと。 ・ノンコミットメント型ライツ・オファリング(行使価額ノンディスカウント型)及び感謝配当(中間配当)に関するお知らせ ・ノンコミットメント型ライツ・オファリング及び感謝配当(中間配当)に関する補足資料 ・ノンコミットメント型ライツ・オファリング(行使価額ノンディスカウント型) Q&A ADワークスの新株予約権は、1個につき39円の払い込みで1株取得できる権利。この39円はライツ・オファリング実施を公表した前日の終値で、初の行使価額ノンディスカウント型となっている。 ADワークスのライツ・オファリングに関する主なスケジュールは以下のとおり。 4月25日:ライツ・オファリングの実施を公表 7月 7日:新株予約権割当の権利最終日 7月 8日:新株予約権割当の権利落ち日 7月13日:新株予約権上場 7月13日~9月12日:新株予約権の権利行使期間(証券会社によって取次ぎ期間は異なる) 7月20日:新株売却可能日(証券会社によって異なる) 9月 5日:新株予約権上場最終日 権利行使価格がディスカウントされていないことに加え、新株予約権割当直後から権利行使が可能な設定となっているのも、これまでにない特徴。 2.株と新株予約権の値動き(途中経過) 新株予約権上場後の、株と新株予約権の値動きは以下のとおり。 注:(3)の欄は、その時の価格で新株予約権を入手し権利行使価格(39円)を払い込んで新株を入手するとしたときの新株入手の総費用。 (4)の欄は、その時の株価と、(3)で計算した新株入手の費用の比較で、新株予約権のディスカウント状況を計算したもの。 新株予約権上場翌日には、新株予約権主導で価格が大きく動いている。 ADワークスのライツ・オファリングについては、ライツ・オファリングのパイオニアで3回目の実施なだけあって用意周到な感じがするなど、いくつか感想があるのだけど、そのあたりはまたの機会に。 ※投資は、損しても得しても自己責任で! ※同様の分野のランキング。優良ブログが見つかるかも。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 21, 2017 08:38:36 AM
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