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2021.10.12
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カテゴリ:国内政治

野党の果たす役割は、何だ・・・「正しい主張をすれば支持される」は、幻想だ!   (はんぺん)


「あの立憲民主党が選挙に向けて公約第10弾なるものを出しているらしい。

その目玉とはなんと選択制夫婦別姓制度…これを今度の選挙の大きな争点とする気らしい。

まあ、いまさら げんなりもなんなのだが、これもまた酷いとしか思えない。世の中にはそれを唱えている人には大問題のようだけれども、大半の人々にとってはどうでもよいものがある。選択的夫婦別姓なるものもその一つではないのだろうか。」(七誌さんのブログから)

https://plaza.rakuten.co.jp/aisya96/diary/202110100000/

 

日本リベラル指導者のレベルが、政権を担える資質を持ち合わせていないという証明だと思う。これだけ多くの問題を抱えている自民党政権に きちんと国民の窮状を理解して、対決できない野党って、なんだ!!!

 

とめどない経済格差の拡大、多くの派遣労働、コロナ化での首切り、生活苦による自殺の増加・・・国民に寄り添うというのは、厳しい現実直視から始まるのではないか? 言い訳は、国民には通じない。

 

迫りくる国政選挙の結果が、今からわかるような現状に、多くの棄権票の増大を憂うるばかりだ。

 

皆さんは、どう思われるか? 沈黙は金では無い・・・ (はんぺん)

―――――――――――――――――――――――――――――

寛容になれと不寛容に主張。支持広がらぬリベラル勢力、固定客見誤る  2021-9-9  岡田憲治さん(政治学者) 聞き手:石川智也   朝日新聞


 内閣支持率が低下しても、野党第1党の支持率は1桁台のまま。迫る衆院選で、リベラル勢力は政権批判の受け皿になれるのか。安倍政権下の国政選挙で6連敗した理由は、野党も支持者も潔癖主義に陥っていることにある――。政治学者の岡田憲治さんはリベラル派の立場から、リベラル勢力をそう批判し続けてきた。そして自戒の念から「友を失っても仲間を増やせ」という境地にたどり着いたという。その真意を聞いた。

 

     ◇

 

 ――衆院選に向けて8日、野党4党が共通政策をまとめました。ただ、立憲民主党と国民民主党、支援団体の連合は、共産党との関係をめぐって距離が縮まりません。

 

 「横浜市長選で事実上の野党統一候補が勝利したことと併せ、弾みをつけたとリベラル陣営は思っているでしょうが、この共闘は『ガラスの結束』です。対等性を欠いた、共産党に一方的に支援させる選挙協力はいつでも空中分解し得ます」

 

 「互いに譲り合い、選挙区での候補者調整と比例区での統一名簿作成を全国で進めなければ、今回も野党の敗北は目に見えています」

 

 ――前回衆院選で、自民・公明両党の得票率計は選挙区も比例区も50%に届かず、野党候補が競合した220余りの選挙区のうち、その得票計が与党候補を上回った選挙区は60以上ありました。

 

 「つまり小学生にもわかる必勝法があるのに、ゲームの仕組みを無視してバラバラに戦い、与党候補に議席をプレゼントしてきたわけです。自民公認、公明推薦の候補に対し野党候補が乱立していたら、最初から勝負あり。有権者は、勝つ気があるのか?と萎(な)えます。

 

小異を捨てて大同につき、仲間を増やし、政策を実現するために政権を目指すという議会政治の本道を踏み外したことをやっているリベラルが、連戦連敗したのは必然です」

 

 「過半数を取れないまでも、伯仲国会を実現できれば、常任委員会の委員長ポストをかなり獲得できます。審議拒否により定足数を不足させ、委員会を開かせないという戦術も使えますが、いまは委員会を開く与野党交渉すらできない。

 

憲政を破壊しているとしか言いようのないこの8年の政権運営・国会運営を許してきたのは、野党にも大きな責任があります」

 

リベラル派の集会で苦言を呈すると強い反発を受けるという岡田さん。今春まで小学校のPTA会長を務め、義務と負担だらけを変えると筋論でみんなが喜ぶであろう改革を進めたら、一時「周囲は敵だらけ」という状況に陥ったそうです。記事の後半ではその過程で見いだした「政治の原義」について語っています。

 

「正しい主張をすれば支持される」という幻想

 

 ――しかし、政策のすり合わせが不十分な共闘は、選挙目当ての「野合」との批判を招くのでは。

 

 「自民党の右派と公明党の政策の方向や支持層は月とすっぽんと言ってもよいほどですが、彼らも政権維持のために『野合』していますよ。冷戦下のイデオロギー対立が過去のものになった現在、与野党間ですら基本政策にさほどの違いはありません。共産党も、政権奪取後に日米安全保障条約破棄や自衛隊解消を実現できるなんて思っていませんよ」

 

 「党の理念である綱領と、政権の座にいる数年に実現を目指すリストである選挙公約は、全く別ものです。それなのに議員も支持者も切り分けができず、あいまいな『政策の不一致』という言葉に振り回され自縄自縛に陥っている」

 

 ――リベラル勢力は原理原則に拘泥し硬直化、独善化していると、以前から批判していますね。

 

 「私自身が、自由、公正、寛容、人権、法の支配という価値を重んじ、国家より個人を優先するリベラル派です。そして、リベラル陣営の候補者を当選させるべく事務所に通ってポスター貼りやチラシ配布を手伝うなど、どっぷり政治に携わっています」

 

 「身近な同志たちは、民主国家のルールを平然と無視する政権を有権者が結果的に信任し続けていることへの絶望を、『我々は間違っていない。日本国民はまだ覚醒していないのだ』とまとめて自らを納得させています。でも、誰もが間違い得るという前提に立つ民主政治において『正しさ』はゴールになり得ないし、政治行動を評価する基準にもなり得ません。正しいことを主張すれば支持される、なんて幻想どころか、逆の結果を招きかねない

 

野党代表の『まっとうな政治』というメッセージを、受け取った人々はこう脳内変換します。

『まっとうではない政権与党を支えているあなたたちは愚か。もっと勉強しなさい』。そして有権者は心を閉ざします」

 

 「ジェンダーなど多様性の問題も同じ。寛容になれ、と不寛容に主張する政治とは自分の信条の純度を上げてそれを実現することだと信じ、四角四面で潔癖主義のピューリタン化してしまっている」

 

 ――ピューリタン、ですか。

 

 「それが如実に表れたのが、立憲民主党の本多平直前衆院議員の問題です。刑法の性交同意年齢を現行の13歳から引き上げる案をめぐり、『50代の私と14歳の子が恋愛した場合に罰せられるのはおかしい』などと発言したことや立ち振る舞いは、確かに稚拙でした。性被害者への配慮も欠いていた。

 

でも彼が主張したのは、一切の例外なく一律に犯罪化することへの慎重論です。処罰すべきか微妙な『限界事例』も含め、人間の行為の様々な可能性を徹底的に検証し議論すべきだ、と。これは近代刑事司法の基本ですよ。

 

それを自由に討議する非公開の党内会合での発言がリークされ不正確に伝わり、SNSで『キモイ』と血祭りに上げられました」

 

 「しかもその後立憲民主党がまとめた調査報告書は、事実関係すらあやふやなもので、何が処分に値するのか不明瞭のまま、仲間を切り捨てた。デュープロセス(適正手続き)の無視、恐怖政治としか言いようがない。掲げる『立憲』にも『民主』にも、リベラルな価値にも反しています」

 

忖度するあまりに失う潜在的顧客

 

 ――迫る選挙への影響を考え、早々に幕引きを図ったのでは。

 

 「でも、それによってどんなメッセージを有権者に与えたか、ですよ。私の周囲の野党支持の女性たちの反応は『あの人たち、怖いね』です。

党内民主主義もガバナンスも欠いた集団というイメージ。それは結局、政権担当能力への疑問符という評価につながります」

 

 「男性議員たちは、本多前議員を擁護すれば次は自分がフェミニストたちに『中学生と恋愛したいエロオヤジ』と非難されるのを恐れて口をつぐみ、党執行部は、甘い対応をすれば彼女らに見放されると判断した。でも、これは取り込むべき顧客を見誤った対応です」

 

 ――現在の支持層には偏りがあるということですか。

 

 「リベラル野党が『上顧客』と考えている一部のラジカルなフェミニストに忖度(そんたく)してのことでしょうが、新たに開拓すべき潜在的顧客を失うことになると思います。憲法の問題も同じ。

 

改憲に賛成か反対かなどと大雑把に分けられるほど、有権者の意識は単純ではない。9条に限っても、護憲派とされている人たちは、日米安保・自衛隊を違憲と見なす非武装中立論者から、戦力としての自衛隊を容認する人まで、かなりの幅があります」

 

 「私自身は、日米地位協定の改定や沖縄の基地問題解決を阻んでいる大きな理由は、9条だと思っています。存在しないことになっているが現に存在する、世界で十指に入る戦力を憲法で統制できず、国際人道法と平仄(ひょうそく)をあわせた国内法をつくれない現状を解消するためには、改憲もやむを得ないと。自民党の改憲案には反対でも、同じ問題意識を持つリベラル陣営の人は少なくない」

 

 「それなのに、いわゆる護憲政党は、憲法は一文字たりとも変えるなと訴える純度の高い人々を実像以上に大きな固定客だと見なし、彼らに背を向けられたら終わりだとおびえている。そのために新たなマーケットを開拓できなくなっています」

 

 「それは、朝日新聞や東京新聞などのリベラルメディアが、改憲に賛成か反対かなどという単純な世論調査や報道を繰り返し、その間のグラデーションをまったく見ようとしないことにも原因があります」

(注:グラデーションとは、段階を追って変化してゆくことを指し、一般には「色彩・色調のぼかし、濃淡度、色調の段階」として用いられている。( Weblio辞書)

 

 ――しかし、憲法問題を争点にすることこそ、有権者の意識と乖離(かいり)しているのではありませんか。

 

 「確かに、選挙での有権者の判断基準としては、憲法は下位です。改憲を訴えてもまったく票にならず、逆に失いかねない。ただ、より大きな政治勢力の結集を目指す際に、この問題は避けて通れません。

 

『日本の主権を考え直し、現代の国際法と足並みをそろえるためにも、憲法の問題はタブーなく幅広く議論していきましょう』という程度の前提を共有できるかどうか、ということです。

 

でも野党が固定客と考えている人たちは、そういう議論をした途端、拒否反応を示してしまう。先の国会で成立した改正国民投票法も、投票環境を改善する至極当然の内容なのに『改憲への一里塚だ』と猛反対し、最終的に賛成にまわった野党に『裏切られた』と吐き捨てる」

 

 ――リベラル陣営は教条的で、現実と格闘していない、ということですか。

 

 「ちゃんと大人の政治をやろうよ、ということです。原発だって、『即時ゼロ』なんて大人がのめる話ではない。でも、軟着陸させるための現実的な話をした途端に『脱原発はウソだったのか』『原子力村に取り込まれた』と批判する。子どもじみた原理主義です」

 

 「政治とは、期限を設け、そこで実行する道筋と方法を、冷徹に、その都度模索することです。一定期間に実現可能な工程表を作成し、それを基に同志関係を構築し、社会に示して支持を取り付ける。そういう当たり前のことが、野党とその支持者にはできない」

 

 ――選挙に勝つためには、現実的な政策を打ち出すべきだということですか。

 

 「訴える政策の順番付けが間違っているということです。パリテ(男女同数)、LGBTQ(性的少数者)、動物愛護はもちろん大切ですよ。でもそれが響く人は、最初から野党に投票しています。いま政治が示すべきは、当然ながら、人々の生活を守るという強い意志です。いまや日本は年収300万円以下の給与所得者が4割を占め、不安定な非正規雇用の労働者も4割に及んでいる。特に女性若年層の貧困は、放置を許さないレベルです」

 

 「本来ならリベラルとは、公正な社会のために政府の適切な介入を求め、再分配政策も積極的に行う立場です。しかし旧民主党が緊縮派や自己責任論者をも抱える政党だったため、有権者の理解にも混乱がある。

 

それは、リベラル野党がこの間、中間層を再び分厚くする経済政策を進めるというメッセージを継続的に発してこなかったからです。日本はいま、OECD(経済協力開発機構)諸国で屈指の小さな政府ですが、自民党のこれまでのネオリベ政策から野党が大きくかじを切ろうとしているのかどうか、有権者には見えない。

 

リベラルは、もっと銭金を語らなければ。れいわ新選組の山本太郎代表の演説後になけなしの千円札を握りしめて献金の窓口に並んだような若者たちの心をつかむための努力を、必死でやらなければならないんです」

 

 ――ただ、顧客を見誤っているという点は、保守も同じではないでしょうか。

 

 「リベラルは、ジェンダーや人種、障害などアイデンティティーに基づく集団やゴリゴリの護憲派を気にし、保守は、日本会議系や右バネした支持層を頼っている。労働組合も業界団体もかつての組織力がなくなったこともあり、極端な固定客をつなぎ留めようとしているわけです。結果、その間の中庸な人たちの政治的期待は、行き場を失っている」

 

 「それでも、組織としては自民党のほうがよほど老練で、大人ですよ。東京西郊の私の地元でも、色々な団体の行事に顔を出して必死に頭を下げているのは、みんな自民党議員。野党議員は、あいさつすらまともにできない人が多いと感じます。そんなことか、と思うかもしれませんが、人の心はそういうささいなことで動きます」

 

 「飲食業界の人たちの政治への不満はいま決壊寸前です。野党議員はこういう時こそ商店街をまわって御用聞きをし、怒りの声を束ねるのが仕事のはず。でも、現に政治家の力を頼りたいと思っている人たちの脳裏に、『あの人なら』と思い浮かべさせることがまったくできていない。日常活動が圧倒的に不足している」

 

 「政権への執着という点でも差は大きい。かつて野中広務氏は過去の一切をのみ込み三顧の礼をもって公明党を迎え、自民政権を延命させました。自民党は今度の衆院選で仮に議席を大幅に減らしても、日本維新の会を取り込み、国民民主党に手を伸ばし、さらには立憲民主党内の右派にも秋波を送って、死に物狂いで政権を維持しようとしますよ

 

野党は逆に、自民党内で冷遇されてきた石破派や岸田派の議員、公明党と手を結び与党を割る算段をしなければならなかったのに、いまの野党のリーダーにそんな腹芸ができるかどうか」

 

友人かなり失ったが、その数十倍の新たな同志を得た

 

 ――理より情、ですか。悪びれず清濁併せのめ、とも聞こえます。

 

 「政治的リアリズムを身につけろ、ということです。既成事実に屈服しろとか、目的のために手段を選ぶなということではない。信念を持たない政治は、利権に容易に取り込まれます。一方で、信念に殉ずるのは、政治ではない。それは最初から現実との戦い、試合を放棄した敗北主義、ナルシシズムです」

 

 「民主党政権時代、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で社民党は連立を離脱しましたが、そうやって純粋さを貫き、自分たちは魂を売らなかった、と満足しても、政治的成果はゼロ

 

沖縄の負担は全く軽減されず、誰も救われていない。妥協点を探し、泥にまみれ、負けこんでも5149まで押し戻し、現実を1ミリでも動かすために汚名もいとわない。必要なのはそういう覚悟です」

 

 「リベラル派の集会でもこんな調子で苦言を呈していますが、旧来の左派・護憲派の文法で生きる人たちから強い反発を受けます。友人もかなり失いましたが、その数十倍の新たな同志を得ました」

 

「政治は、常に『後知恵』で結果責任を問われるという非情さを抱えています。原理原則と心中するのではなく、でも原理原則をなんとか守るためには、理想からするとセカンドベスト、サードベストを選択しなければならない時がある。私たちは日々、そうやって人生を生きている。政治も同じです。我々リベラルは成熟しなければならないのです」

 

 ――PTA活動を通じて、改めて「政治」を考え直したそうですね。

 

 「今春まで小学校のPTA会長を3年務めました。この組織は任意団体なのに義務と負担でがんじがらめ。最初から『変えてやる!』とファイティングポーズで臨みました。紙ベースだった連絡はメールで。委員は削減。

 

平日昼の役員会を土曜に。校長や町内会長との夜の宴会は中止。運動会での女性役員による来賓へのお茶出しなんて即廃止……。誰もが喜ぶと信じてのことでしたが、気づけば周囲は敵だらけでした」

 

 「頭ごなしのNGではなく『こうしたら楽になりますね』と“和文和訳”しなければならなかったのに、筋論を言えば人はついてくるという誤った考えにとらわれていた。

 

同じ視点で政治を評価していたそれまでの自分の姿勢を猛省しました。ねぎらい、説得し、妥協し、根回しし、仲間を増やす。そのためには言葉選びがシビアに問われる。これこそ政治の現場だ、と」

 

 ――しかし、PTAなどの地域活動と国政では、求められるものはかなり違うのでは?

 

 「昨春の一斉休校要請で、新1年生の親たちは不安を抱えたまま放置されていました。『私たちは子どもの様子も学校の方針も全くわからない。何がわからないのかもわからない』と。

 

その声をまとめて学校に伝え、すぐに保護者会を開いてもらいました。保護者たちが求めていたのは、コロナ禍を過ごすための『正しいマニュアル』ではなく、不安を吐露し、それを受け止めてくれる場所。これは『政治』の原義だと思います」

 

「コロナ禍の1年半、有権者が政治に問うたものは、『あなたたちに私たちは見えていますか』ということ。少なくともいまの野党は、多くの有権者に『私たちを発見してくれる集団』と見えていない。正しくもっともらしいことを言い続ければ政治になると思っている偏差値秀才から脱し、人々を『発見』する。リベラルがまず目指すべき政治のイメージです」

 

     ◇

 

 1962年生まれ。専修大学教授。専門は民主主義理論。「なぜリベラルは敗(ま)け続けるのか」など著書多数。小学生の2児の父。






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最終更新日  2021.10.12 15:54:05
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