♪ 不精髭をかつて嫌いぬ流されて河口に溜まる忘られしもの
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50年近く伸ばし続けてきた髭。事あるごとにその生やす位置や形状や変えてきた。自分の歴史と連動させた身辺変化の記録としての意味合いを持っていた。
鼻の下から顎まであったり、鼻の下だけになったり、顎髭だけになったり。サラリーマンだった時から生やしていて、海外出張の時に無理やり剃らされた時、サブの仕事で郵便局に勤務していた期間以外、今の今までずっと生やし続けてきた。それをサッパリと剃ってしまった。
大してカッコいい髭でもないし似合っていたかどうかも知らない。男の意地、矜持、虚勢、見栄、自己顕示、面白半分、反骨など様々な思いがない交ぜになっていた。
自分が思うほど他人は気に留めていないもので、郵便局勤務のために剃った時は家族すら気付かなかった。まあ、それだけ影が薄かったのかもししれないが、拍子抜けするほど何もなかった。テーブルを挟んで見つめ合ったりすることがなくなって久しい。その様なシチュエーションがあっても前後を知らなければそれまでだ。今回も、だーれも気付かないだろう。
剃った動機?
ん、まあ、手入れが面倒というところかなあ。こだわりがなくなって、生やしていることに意味合いが無くなったということもある。また、老い先短い日々をここいらでリセットして、今までとは違う気分で送りたいのと、新しい自分を発見したいという思いもある。
11月の作品展の場所が喫茶店なので、お客さんや知人と一緒にコーヒーを飲む機会は多いと思うが、気付く人がいるかどうか。気づいても口には出さないタイプの日本人が多いのも確かなので、やっぱりリアクションは無いのだろうな。
剃毛、剃髪って言葉があるのに、「剃髭」っていう言葉がないのは何故か。一般的でないとしても実際にはそういう事があるのだから無いのは片手落ちだ。音読みは「し」なので「剃髭」は「ていし」で良いと思うが・・。
髭(くちひげ)、鬚(あごひげ)、髯(ほおひげ)と漢字を使い分けるらしいが、実際にはあまり目にしない。因みに漢和辞典には「鬚髯(しゅぜん)」が載っている。
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