♪ 身に沿わぬ服に手を入れ副わせれば価値やいや増す風船かずら
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膝丈ハーフパンツ(カーゴパンツ風)があったので穿いてみたらあまり心地良くない。生地が薄くサイズが大きいので、腰回りも緩いし裾がヒラヒラぶかぶかして締まりがない。色が中途半端なブルーで、染料が悪いので変色しかかっていて如何にも安っぽい。そのままではジジイが穿くには気がひける。それで、普通はやらない方法でアレンジしてみた。
先ずは、スレン染料で全体を色替えし、裾を濃くぼかし染めにする。
本題はこの後だ。綿素材なので強アルカリに浸けると著しく縮む、「縮絨」というのを利用するわけだが、既成のパンツにやるとどうなるかは分からない。生地にもよるしアルカリの濃度や浸ける時間によっても変わってくる。アルカリに浸けた部分は色が濃くなるのを見越して染めるておく。それを絞り染めの技法を使って部分的に縮まないところを作るという寸法だ。
以前、Tシャツにやったことがり、その歪んだ形のTシャツを面白がって買ってくれた人がいる。テーブルランナーに応用してオブジェにしたこもある。それで、大体の予測は出来ているので、ぶっつけ本番でやっちまうことに。
夏椿(沙羅双樹)
アルカリは苛性ソーダを使う。スレンを染める時に使う、30g/ℓのかなり濃い水溶液に一気に全体を浸けこんでやる。瞬間に生地は縮絨し始めるので、絞り染めの2か所の間にも液が回るように揉み込んでやる。時間にして1分ぐらいかな。
引き上げると、ギューッと縮んだパンツは2/3ぐらいになっている。それを熱湯につけて苛性ソーダを洗い落とすこと3度。水洗では取れない。絞り部分の中にも入り込んでいるので、解いてから再び熱湯に入れて完全に落とす。
安物のパンツにわざわざこんな面倒なことをする人はいないでしょう。面白がっている方が大きいけど、上手くいけば他にも応用できる。やってみる価値はあるのだ。
リメイクの出来上がり
ヒップとウェストの一部分と腿全体を縮絨させるのが目的だった。2か所の番号(ボーダー部分)が防染して縮絨させていないところで、元の生地がそのまま残っている。裾のぶかぶかが直っていい具合になっているし、色もいい。穿いてみるとピッタリで、予想通り “穿けるパンツ” になった。
縮絨させない部分を作ってあるのがミソで、普通とはちょっと違った味を出して見たかった。なので、全体にやってしまっては意味がない。腿の部分にも作ろうと思ったがカッコ悪くなりそうな気がしたので止めた。
写真を撮っていると、アランが足元にまとわりついてきた。爪を立ててしがみ付き、嚙みついたりもする。遊びたい一心で、反撃してくるのを期待して・・・痛いイタイ。
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