● 友禅染めの個展、ついでに熱田さんへ
♪ いつしらに二月となりしこころはやさやに逃げゆくきさらぎの日々‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 京都の友禅作家「玉村 咏」氏が、名古屋で初個展を開いているので観に行って来た。いつだったか、友人のつづれ織り作家の紹介で訪れた、京都文化博物館での個展の折に一度会ったことがある。それ以後、毎回DMを送って頂いている。DMは、裏にコメントを認めた12枚の写真が同封され封書で送られてきた。 右は裏面に書かれている文章(拡大します) 会場は、センチュリーホールのある国際会議場。第一回国際絞り会議のレセプション会場になったところで、もう16年ほど前になるがとても懐かしい。2号館1Fの会場に行き、受付で記帳を済ませて観覧。 少しして、私の名を告げながら玉村さんが近づいてきたので驚いた。会ったのはずいぶん前で、それも一度切りなのに顔と名前を覚えているなんて、信じられない。 それを言うと、「芳名帳に記帳されたのを見たので、分かりました。」という。「でも、顔は覚えてないんじゃないですか?」と言うと、「その都度パソコンに入力してますから。」「吉田さんと一緒に来られたんですよね。」その時のことを入力してあるので分かったというのです。「そうだとしても、私だったら先ず無理ですね。」「顧客名簿には9,000人からの登録がありますが、入力のお蔭で分かるんですよ。」 私の友人の吉田さんとの付き合いがどの程度なのか、よくは知らないが一緒に行った時の印象が深かったのかも知れない。 来客との冗談を混ぜながらの気楽な雰囲気の接待、商売っ気を出さないフレンドリーな対応に好感を持ち、ファンも多いらしい。写真を撮っても良いかと聞けば、「どうぞどうぞご自由に。変なことやっている人がいると、警察に通報しても構いません。」なんて冗談も返って来る。「男の方は珍しいですね。」と、夫婦連れのご婦人に声を掛けられた。「私も染色をやってるもんですから。」「絞り染めですけど、色にはとても興味があるんです。」「有松絞りですか?」なんて、必ず聞かれるのをサラッと交わしながら、口から出て来る言葉をいつもの様に自由に泳がせて、しばしの立ち話。 長年にわたる友禅技法はさすがに洗練されていて、その表現の幅も広い。ぼかし染が得意なだけあって随所に見られ、色への思い入れと配色も相俟って美しい。名古屋友禅とは違う、京都の底深い伝統文化のかおりが会場に満ちていた。「いよいよ名古屋友禅へ殴り込み、ですね。」というと、「皆さんそうおっしゃいますが、そんなこともないんです。」と、意外に自然体で気負ったところがない。1号、2号館の前広場のベンチにはカップルなどが、祭日の午後をのんびり楽しんでいる。神宮前駅からの経路は、熱田神宮を横切り、堀川を越えていく形になる。向こうに見えるのが国際会議場。 せっかくなので、帰りは熱田さんの神殿に立ち寄って参拝。 ずいぶんの人出で驚いたが、思えばまだ睦月の半ば。年が明けてから二週間しか経っていないなんて、とても信じられない。何故だか、気分はもう2月に入っている感覚で、時間よりもかなり先を行っている感じ。 名古屋ではこの日が成人式だったのか、振袖姿もちらほら。剃り込みを入れた金髪で派手な袴姿の、蓮っ葉な連中もうろついていた。あんな輩でも神様は気になるらしい。