『SAW』
これは、映画で公開される前から気になっていた作品です。結局、観に行くことが出来なかったのでDVDレンタルしました。なんていうのか、自分がその立場に立たされたらと恐ろしくなる映画です。目が冷めると、見知らぬ密室。足には、鎖。部屋の対角には、見知らぬ男性。そして、部屋の中央に位置する場所にはピストル自殺した男の死体。どうしてそこにいるのか、どうしてこうなったのか。そんな理解を求めても、帰って来る答えは沈黙。そして、お互いのポケットにはテープレコーダーのカセット。死体が握るテープレコーダー用の…。テープは語る、片方の男に。一緒にいる男を殺せと。さもなくば、お前の妻と娘の命はないと。そう、これは、犯人による殺人ではない。犯人が、殺人を犯しているのではない。ターゲットが、自ら死に向かうようにとセットされた仕掛け。ターゲットが、他者によって死に向かうようにセットされた仕組み。生きている、そのことを大切に思わない者たちへの戒め。生きている、そのことを誇りに思わない者たちへの戒め。自らは、もう先のない人生。だから、教えてあげよう。未来のある者たちに。生きていることが、どんなに素晴らしいかを。そして、密室の2人に与えられた時間は6時まで。6時までに、一人がもう一人を殺さなければならない。時間が過ぎれば、家族もお前も助からない。それが、ルールだからだ。しかし、彼には殺せない…。時間が来ても、それを実行しなかった。彼の家族は、死を覚悟しながらも立ち向かい。その命を繋ぎ止める。奪えなかった犯人は、密室へと向かう。せめて、2人の命を奪うために。彼は、呟く。『それが、ルールだ』と。しかし、その前に彼らの一人は自らの命を、その足と引き換えにする。残された一人は、殺しに来た男を殺し、命を繋ぎ止める。けれど、部屋の中央にいた死体。そう、彼は生きていたのだ。彼が、本当のゲームを支配する者。まだ、終わらないゲーム。まだ、続くゲーム。次に選ばれるターゲット、それは貴方かも知れない。なんていうか、すっごく恐ろしい作品だなって思いました。じわじわと遅れてやって来る恐怖、そんな感じです。生きている、そのことに喜びを感じないヒトがどれだけいるのでしょうか?それが当たり前だと、思ってしまっているのではないですか?でも、本当は、とても素晴らしいことなのではないでしょうか?いつ終わるか解らない人生、それが恐ろしいことだと思う。それが、このゲームの始まりの瞬間なのかも知れません。