テーマ:華麗・大川橋蔵の時代劇(449)
綱条は叔父光貞に感謝します
早馬が、ご勅使の江戸城に入る時刻を知らせてきます。 城に出向く綱条は、強い決意をもっていました。出発前、継の方と向かい合って盃を交わします。 綱条「上様のお心次第によっては、・・・或いはこれがその方との名残りの酒にな るかもしれぬが、・・・綱条のもとに化してわずかに三月、されど綱条、こ れを浅き縁ともはかなき縁とも思わずに済むは、そなたのおかげ、いま改め て礼を申すぞ」 継の方が、これで綱条の妻になれたといいます。城から連絡あり次第、自分もそれなりにするといい、天下の副将軍として、存分のお勤め祈っているといいます。 綱条は、「うん」というように首を小さく縦に振り、継の方もそれに答えるように・・・二人の心と気持ちは通じ合い見つめ合うのです。 そこへ、中山備前守が登城の時刻を知らせます。綱条は部屋を出ようとして、継の方の方を振り返ります。 綱条「蓮の台で・・・」 江戸城大広間、将軍綱吉、黄門光圀、紀伊大納言光貞、副将軍綱条が揃って、勅使柳原大納言を迎えます。柳原大納言は、黄門光圀の前に来たところで立ち止まりました。光圀が顔をあげます。柳原は笑みを浮かべ通り過ぎていくのです。そう、勅使柳原大納言は、黄門様が、一ぜん飯屋、真如院であった大原健之助だったのです。 柳原と光圀が茶をたて寛いでいる頃、中将綱条は、将軍綱吉に許可願いたいこと二か条を申したてます。 綱条「勅使院使西の丸炎上の御見舞いとして禁裏より差しつかわれましたので、そ のお土産として禁裏御陵一万石の奉呈、上様におかれましては畢竟の御家 臣、その上様の首領は八百万石、これに引き換え、近隣にあっては東照権現 様本御陵として二万石料献じられたのみにございます。・・・・・徳川と禁 裏のこのあまりなる隔たりが、天下擾乱のもととなるは、うるうるものにご ざりまする。・・・相次ぐ大名お取りつぶしの結果、全国にあふるる浪人の 数は、今や二十万と申しまする。扶持を離れた輩が、御禁令によって再仕官 の道を断たれ、自暴のあげく、口実を尊王の大義に借りて、慶安の乱の最凶 を謀らんか・・・」 聞いていた綱吉が綱条に「近来の火災も、その方も、世情の噂のごとく、これら浪人どもとみるか」と聞いてきますと、 綱条「噂の制止よりも、この不祥事を根絶せねばなりません。すなわち、浪人ども 仕官の道を通ずる御発令が、二つ目のお願いでござりまする」 綱吉は側近のダメだという仕草を見て、綱条に「中将殿のその願い、叶えがたきとあらば・・・」といってきたとき、「しばらく」と光貞が綱吉の前に進んで来ます。 光貞が綱吉に申します。綱条殿、天下の副将軍として若年ながらも大任、日夜心を砕く様子ははたのみる目も労しきほどであること、を述べ、綱条が勅使下向のこの日に綱吉に拝謁願ったことを聞きただならぬ覚悟と参り出たと・・・、そして綱吉にいいます。 光貞「中将殿のお願い、上様において叶え難しとの御状ならば・・・中将殿は、ご 切腹のお覚悟と見えます」 綱吉、側近も驚きます。 光貞は、綱条に、 光貞「しかし、ご切腹のことは光貞もお止め申す」 そして、思いもかけぬことをいってきたのです。 光貞「むしろ、これより直ちに水戸へ駆け戻り、日立一国をあげてのろう城をおす すめ申す」 綱条は、思いもかけぬ光貞の言葉に驚きます。綱吉も同様に。 そして、そのさきは、綱条殿に従って紀伊へ帰ってろう城するというのです。 光貞「光貞にとっては、上様、綱条殿も血を分けおおたる叔父甥、・・・されど天 下正道の是正にくらぶれば骨肉の相争う悲しみなど、ものの数とは申されぬ ところでござろう」 綱条は後押しして綱吉に助言してくださる叔父光貞に感謝します。 続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年11月23日 11時30分55秒
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