オー・メドック地区リストラック村のC・ヴェイラン
今回のワインは,ボルドー地方メドック地区のワインです。メドック地区は,ガロンヌ河とドルトーニュ河が合流してジロンド河となる河沿いの左側に,細長く伸びる地帯です。河口に近い下流,北側の1/3がバ・メドック(Bas-Medoc),ボルドー市に近い2/3がオー・メドック(Haut-Medoc)と称され,区別されています。メドック地区の土壌は,砂利,粘土質,石灰岩質からなるやせた土地で,カベルネ・ソーヴィニヨン,カベルネ・フラン,メルロー,マルベック,プチ・ヴェルドが主に栽培され,ルビー色の非常に格調高い,芳醇な香りとデリケートな味わいの,タンニンと力強さをもつ赤ワインを生み出しています。オー・メドックには29村(コミューン)があり,その内,独自の村名のAOCを有するのは6村です。 (1)サン・テステフ (2)ポイヤック (3)サン・ジュリアン (4)リストラック ← 今回のワインの産地 (5)ムーリ (6)マルゴーです。これら6つのAOCは,単なるオー・メドック地区のAOCより厳しい規定となっており,一定水準に達しないものは,オー・メドックあるいは単にボルドーのAOCワインとして販売されます。メドックの格付けは,パリ万博開催に当たって,ナポレオン3世がボルドー商工会議所に命じて,1855年に決定されました。メドック地区には,これらの格付けシャトー以外にも,優良なワインを造るシャトーがあり,これらがシンジケート(同業者組合)を作っています。現在,約300のシャトーがこれに属し,「ブルジョワ・クラス」と呼ばれ,生産者元詰めワインを造っています。【写真】シャトー・ヴェイラン1995【参考資料】佐伯保幸,小阪田嘉昭,上野昇,岩田勉,斉藤浩(2003):WINE GUIDE,エミピーケー株式会社,東京