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昼ドラHolic ~美しい罠~

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January 10, 2007
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カテゴリ:昼ドラ
類子を狂おしく求め、今まさに愛し合おうとしたその時、
脱ぎ捨てた上着の内ポケットで俺の携帯が着信を告げた。
電話を取ると、不破の声。
「今どこにいる。すぐに戻ってこい」
類子が心配そうに尋ねる。「どうしたの」
俺は小声で類子に言った。「不破からだ」

・・・不破のあのしわがれた声を聞くと、俺の心にある種の闇が訪れる。
もがいても、苦しんでもその闇からは逃れられない。
逃げようとすればするほど身体に食い込む荊の蔓のように、それは傷口をより深く広げる。
こんなにこの俺が不破の呪縛に捉われていなければ
携帯に出ることも、ましてや類子の身体を手放して
すぐに飛んで帰るなどという事もしないで済んだはずだろう。

類子を抱いて、その体を慈しんで・・・
その別の人生への入り口を、俺は心から愛おしんだに違いない。

しかし俺は迷わず電話に出た。そしてすぐに帰ると返事をした。
悲しいほど、俺は不破に心を縛られていた。

類子が少し寂しそうに言う。
「どういう事。こんな時間に呼び出すなんて。何かあったの」
上着を着、帰り支度をしながら俺は言う。
「分からない。帰ってみないことには」
類子「・・・槐」
小さな貝が泣くような声で類子が呼び、
切なそうに俺の胸にその細い肢体を飛び込ませた。
心から類子を愛おしいと感じ、彼女の想いに応えるように俺はその背中を抱きしめた。
白い額に、そしてまだ熱の冷めない唇にそっと口付けて言う。
「大したことじゃない。いつもの気まぐれさ。また連絡する」
潤んだ瞳で見つめるミューズのそれのようにたおやかな髪を撫でて微笑むと、
俺は類子をおいて部屋を出て、まっすぐ山荘へと向かった。

俺が山荘に戻ったのは朝日が昇った頃だった。
少し仮眠を取ってシャワーを浴び、テラスに向かうと
不破は読書をしながら朝食後の紅茶を楽しんでいた。
槐「おはようございます。午後までには戻るつもりだったのですが」
不破「出掛けていたのか。夕べは姿が見えなかったようだな」
槐「申し訳ありません。お留守の間に細々とした雑用を済ませようと
東京に出たのですが、思いの他手間取りまして」
不破「さては、新しい歯ブラシでも探しに行っとったか。
ところで、新しい看護師はどうした」
槐「小谷教授にお願いして何人か推薦してもらっているところです」
不破「いいから断れ」
槐「・・・は?」
不破の言葉に心臓が波立つ。
不破「何度も言わせるな。断れと言ったんだ。
うちには、あの生意気な看護師がいれば充分だ」
槐「とおっしゃいますと」
不破はイラつき、しかしどこか羞恥を隠すように怒鳴った。
「あの飛田類子とかいう生意気な看護師を呼び戻せと言っとるんだこのバカが!
この家の主人が俺一人だという事を、今度こそあの女にはっきりと分からせてやる!
つべこべ言わずにとっとと連れ戻しに行け!このバカが!」
槐「・・・はい」

俺は足早に自分の地下室へと向かった。
・・・まさか、今になってこんな時がこようとは!
部屋に入って扉を閉めると、周囲をはばかりもせずに俺は声を発した。
「・・・何てことだ。あいつが彼女を追いかけだすとは。
奇跡だ。奇跡が起きてる。こうしちゃいられない」
すぐにでも類子を呼び戻しに行こうと、俺は部屋を出ようとした。
が、扉を開けるとそこに澪が立っていた。
澪「今いいかしら。聞きたいことがあって」
槐「お急ぎでなければ後にしていただけませんか。
だんな様のご用で、出掛けるところで」
澪「ごめんなさい。私急がないから、どうぞ行ってちょうだい」
俺は澪には目もくれずに部屋を出て行き、類子のアパートへと車を飛ばした。

東京、類子のアパート。
俺の顔を見て喜びの笑顔を浮かべた類子が、俺の言葉を聞いてその顔色を変えた。
「何ですって?不破が私を呼び戻すって?」
槐「ああ、俺も耳を疑った。だがあいつは間違いなくあんたを求めてる。
言ったろ。あいつが心の中で無意識に求めているのは自分に楯突く人間だって。
あんたがあの屋敷を飛び出したのも、無駄ではなかったという事になる。
さあ、急いで支度するんだ」
俺が類子の手を取ると、類子はその手を振りほどいてテーブルの前に座りこんだ。
「嫌よ!言ったはずよ。私はもう戻らない。ゲームなんてまっぴらよ」
槐「何故!」
類子「何故って。また同じことの繰り返しだもの。
あの男に意地悪を言われて楯突いて、レイさんや千津さんからはあからさまな嫌がらせ。
敬吾だって今度は何を仕掛けてくるか。その中で私は、殆ど一人で戦ってきたのよ。
貴方は一体何をしたって言うのよ!」
俺は類子に強く言う。
「確かに、俺はいいパートナーじゃなかった。それは認める。
だが、信じて欲しい。今度あの男が理不尽なことをしようものなら、
俺は体を張ってでもあんたを守る!
不破だけじゃない。敬吾からも、レイさんからも、千津さんからも。
必ずあんたを守る!だから帰ろう。俺と一緒に。
蠍座のあの赤い星のように、全てを賭けて燃え尽きても惜しくない額だ。
2,30億という金は。そうだろ!?」
類子は立ち上がって言う。
「貴方がなんと言おうと、今すぐ尻尾を振って帰る気にはなれない。
不破にはそう伝えて」

類子の頑なな拒絶に俺は愕然とした。
俺が守る・・・それは心からの言葉だった。
しかし、愛しいこの女が嫌がることは強いたくはない・・・

14才の頃に家族を失った類子。
友達も親戚もなく、独りで生きてきた彼女がひたすら求めていたものは
贅沢な望みでは決してなく、たった一つのぬくもり・・・
そのぬくもりを、今なら俺が与えてやれる。
心からの安堵と小さな幸せなら、俺は与えると同時に
俺自身が類子から受け取る事だって出来るはずだ。

類子の震える肩を見ながら、俺は俺の巻き込んだゲームに
類子を再び巻き込もうという気を失った。
金以上の喜びを知る類子、そんな彼女を俺は愛したのだから。
山荘へと戻る車を運転しながら、
同じ孤独を共有する彼女を俺は大切にしようと思っていた。

山荘に戻り、サロンで不破に報告をする。
不破は眉を顰めて言う。「何だと?看護師が戻らないだと?」
槐「はい。何を言っても、もう戻らないの一点張りで」
不破「あの女に戻ればいくらかくれてやると、そう言ったんだろうな」
槐「勿論です」
不破「いくらだ!」
槐「ここに戻る交通費や支度金の他に、報酬を今までの3倍払うと」
不破「それでも戻らんとそう言ったのか」
槐「はい。もう諦めたほうがよろしいかと」
その時、突然不破が立ち上がり、俺の頬を平手で強く打って叫んだ。
不破「だからお前は能無しだというんだ、このバカ猿が!!」
不破は杖で何度も何度も俺の背中を打ち、弾みで俺が床に倒れこんでも尚、
その手を緩めず強く打ち続けた。
不破は鬼の形相で叫ぶ。
「あの女が金で動く女かどうか、よーく考えろ!!
今まで何を見てきたんだ、この役立たずが!」

・・・打たれるごとに、俺の脳裏に火花が散るように様々な光景が蘇って来た。
幼い頃、不破が大事にしていた花瓶を誤って割ってしまった時の初めての殴打。
敬吾の嘘を庇って殴られた時の、床に滴った鮮血の色。
スープに糸屑が入っていたと言って皿をぶつけられて肩に青痣を作った母、
それでも笑顔を絶やさずに、不破に俺の事を頼むといって
過労で痩せこけて死んでいった母の哀れな姿・・・

怒りで唇が震え、目を剥いて不破を睨む。
ゲームの事など忘れて、その場で不破を殴り殺したい衝動に駆られたその時、
澪と敬吾がサロンに飛び込んできた。
澪は俺に駆け寄り、体ごと不破の杖から守ろうとする。
不破が声を荒げる。「ええい、どけ!」
澪「いいえ、どきません!」
澪の声に俺は我に返り、迸りそうになった殺意を
かろうじて胸の底に封じ込めることが出来た。
敬吾が澪の体に手をかけて言う。「澪、どけって!」
俺は痛む背中を我慢して、立ち上がって言った。
「悪いのは私ですから。どうもすみませんでした」
不破に一礼をし、俺はその場を去った。

・・・ゲームという名で彩りはしたが、
それは立派な復讐であることを俺は認めざるを得なかった。
心臓からこみ上げてくるこの怒り、嫌悪、そして殺意。
それらを今俺は最大に感じ、それでもどう行動したらゲームを上手く進められるか
憤る心とは裏腹に冷静に思考を巡らせた。

(2/2に続く)





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Last updated  February 6, 2007 11:37:22 PM
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王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ http://kuri.backblack.net/-6jv9of/ 今…
しおん@ ヤホヤホぉ★ こっちゎ今2人なんだけどぉ アッチの話…
アゲチン@ ありがとうな!!!! http://bite.bnpnstore.com/ogwmxps/ ア…

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