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ひよきちわーるど

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2005.08.04
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カテゴリ:I love family

さすがに夜の10時過ぎになってくると
私も、そしてまわりにいてくれる家族にも、
疲れの色が見えてきた。

特に 母は余り身体が丈夫ではないので、余計心配だ。

家族に夕飯は食べたのかどうか訊く。
みんな 一応時間を見計らいながら摂ったとのことで 
まずは一安心。


うう。
こんな時に冗談にひとつでも言えたらいいのだろうけれど
あいにく そんな状況ではなくなってきている。






午後10時半。

ひよきちの様子を見に来てくれた看護婦さんに
「何だか圧迫感を感じるんですよね」と言ってみる。

そしたら看護婦さんが慌てて
「そ、それはね!赤ちゃんが出かかってるんですよ!」







途端に陣痛室、分娩室内の動きが慌ただしくなった。


おお。なんという急展開。




バタバタバタバタしている中で 
ひよきちは看護婦さんにお小言を頂いていた。(T_T)

「なんで こんなになるまで我慢するんですか!」




うう。
だって、どれくらいの痛みになったらどうなる・・・って
正直分からなかったんだもの。





点滴の痛みを我慢せずに怒られ、
陣痛の痛みを これでもかというところまで我慢して怒られ、
どっちにしても怒られるのね。

妊婦って大変だわ。





「こんなに我慢しなくていいんです!」と言って
ただでさえ怒ってる看護婦さんに対し

「だってまだ壁をかきむしってなかったので・・・」などと馬鹿正直に言えば 
今度はどつかれるであろう(笑)。




でもね、その時のひよきちは本当に
「壁をかきむしるくらいの痛みが来ないといけない」と
思いこんでいたのだよ。

出産なんて初めてのことだっただけに 
どの程度の痛みでどんな行動とっていいのか分からなかった。

母親学級では理論は教えてくれるけれど、
痛みそのものは実感できないからね。





その頃になると痛みも1分間隔。
強烈な痛みに変わってきていた。

よせばいいのに
そんな時にでも ひよは
母に「・・・・人生のクライマックスだから 
   今の写真も撮ってね
」などと言っていた。





うー。
それにしても痛い。

よく友人たちが
「おなかの中をへらでかきまわされるような」などと
恐ろしい表現をしていたが
それにちょっと近いかもしれない。



それにしても
世のお母さんたちは偉いと思った。
心底 そう思った。

この痛みを通り抜けて
みんな子供を産んできたのか。





痛みで朦朧とする中
母の顔、祖母の顔、そして先輩たち、友人たちの顔が
浮かんできた。

みんなこうやって頑張ったんだなあ・・・・。








そういうことを考える自分と、
ただただ痛みに耐え続ける自分とが交互に現れた。




痛みの波が襲ってくると、もはやなにもかんがえることができず、
ひたすら 「くぅ~っ」と唸っているばかり。

余りに「くぅ~っ」を連発する自分が可笑しくなり、
途中で「81」と言おうかと思ったけれど
さすがに冗談を言う気力もなくなっていた。





□■□■□■□■□■□■□■







分娩室の準備も整い、いざ出陣!

とはいうものの、1分間隔で襲ってくる痛みのため
ひよきちは夫と母に両側をささえられ
やっとのことで分娩室に到着。




分娩台にあがり ほっとするまもなく
看護婦さんが 
直ちにひよきちの両足をベルトでかたく固定する。






「え?」

・・・・これでは逃げられないではないか!(逃げるったって、どこに逃げるのだ。ひよきちよ)







さっきまでは 正座座りで痛みと戦っていたが、
こんな風に 仰向けに寝た状態での戦いというのは
さすがに辛いものがある。

痛みが倍以上にも感じられるのだ。

たちまちのうちに 冷や汗が吹き出てくる。
おまけに ここには私と看護婦さんしかいない。
夫は部屋の外なのだ。







「はい! いきんで!」







 い、いきなりか?




「も もう いきむんですか?」

「そうですよ!先生も もうすぐお見えになりますからね。
 大丈夫ですよ。」

「はい!」







さあ、ひよきちよ。
ここからが正念場だぞ。 がんばれぇ。

そう思いつつ、大きく息を吸った。







それと同時に がらーっ!と、
分娩室のドアを思い切り開ける音が。

おお、先生だ。  
先生が来てくださったからには もう安心だ。










そう思い、勇んで入り口の方を見たひよきちは

一瞬 我が目を疑い    かたまってしまった。











そこに立っていたのは 

経験豊かな そして私の信頼してやまない
産婦人科の先生ではなく、







「○○ちゃーん」と、
にこにこして手を振っている わが夫であった。







彼は


「ああ、めっちゃ感激やなあ。記念に写真撮っとくわな。」



いかにも嬉しそうである。




「はい、○○ちゃん、ピースね、ピース。」









・・・典型的なA型人間のひよきちは
看護婦さんに 「ちょっとすみません」と言いつつ
しっかりとピースをして 写真におさまった。










夫の様子をじっと見ていた看護婦さんが 

ぽつりと 

こう、のたもうた。











「・・・・あのような方は、 初めてです。」
















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Last updated  2016.02.01 10:27:45
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