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ひよきちわーるど

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2006.02.07
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カテゴリ:万葉集



天地のいづれの神を祈らばか 

      うつくし母にまた言とはむ


            万葉集 大伴部麻与佐






私をこの万葉の世界へ引き入れてくれたのは
この歌を詠った麻与佐である。


なんとまっすぐな歌だろうと思った。

自分も歌の世界ではまっすぐにい続けようと思った。
大切なことを忘れずにいる自分でありたいとも思った。

歌に対する姿勢を正してくれたのも麻与佐であるし
大げさな言い方かもしれないけれど
自分の生き方を変えるきっかけとなったのも彼である。

この歌に出逢わなければ
私は万葉集と全く無縁の世界で生きていたことと思う。







美しいものは好きである。

しかし、美しいものを追う人生は生きたくない。

美しいものはひとつの手段であって
人生そのものの目的ではないと考えるからである。




美しいものを愛するのは
よりよい人生を生きていたいと思う故。

自分の生を完全燃焼させ
今世での自分の使命を果たす為。

他者に想いを馳せ
尽くしていく自分になる為である。

そのエネルギ-の源が
私にとっては 美しいものなのである。



だから
美しいものを追い求め
それで満足してしまう人生は送らない。

美しいものに触れ それをどう生きる力に変えていくか
そこに価値を見いだしていく。







今 私の目の前に
古代からの大きな船が流れ着き

万葉の頃の歌人達が
独りまた独りと船から下りてくるとき

私は真っ先に麻与佐の姿を探すだろう。





名だたる歌人達が華のように並び立つ中
彼は おそらくは端の方で恥ずかしそうに立っていることだろう。


私は彼の姿を見つけ こう語りかける。

「ありがとう。
 あなたのおかげで私は大切なものを見失わずにすみました。」と。





彼は、いや、そんなことはありません と
口籠もりながら後ずさりをするかもしれない。

それでも私は万感の思いを込めて
感謝の言葉を贈ることと思う。








時の流れを越えて伝わる4500首もの歌々。

そのなかのたったひとつの歌に心惹かれ
私は この古代の世界に入りこんだのである。








麻与佐へ。




確かにあなたの名は
歴史の中には残されていない。

年表の何処を繰ってみても
あなたのことを書いた文章は1行も出ては来ない。




だけど あなたのたったひとつの歌で
生き方を変えた人間がここにいるのだよ。



あなたがどの季節に どの時刻に
この歌を残したのかそれは分からない。

きっとあなたは 自分の歌が
こんなにも長い時を超えて残されるとは思ってもいなかっただろうね。

ましてや長い時を超え
1人の人間の生き方を変えることになるなどと。







けれど1200年もの未来を生きる人間の
その生を変えた。

あなたが残してくれた歌には
それだけの光が秘められていた。














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Last updated  2015.12.08 02:12:55
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