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テーマ:仕事しごとシゴト(23710)
カテゴリ:仕事の話
私は、無類の方向音痴だ。 とにかく、その方向感覚のなさと言ったらただ事ではない。毎日通っている道端に、「あそこにうどん屋さんがあるじゃん?」などと言われてもあったのかどうか思い出せない。商店街で店に入って出ると、自分がどっちの方向から歩いてきたのか分からなくなっている。会社に入って階段をぐるぐる上がって右折左折してデスクに着くと、近所の店が建物の右側なのか左側なのか、はたまた後ろなのか前なのか分からなくなっている。 これはもう、慣れなどの問題ではなく、能力の問題だ。私には方向認知の能力がない、と割り切っているので、別に悲しくもない。方向感覚がなくても他の分野で能力があればいいのである。他の分野が何かは思いつかないが、特に生きていくのに困らないから良しとする。 方向音痴の人のもうひとつの問題と言えば、片付ける能力が欠けているということらしい。例えば物置にびっちり入っていた荷物を全部取り出して、またもとの通り全て入れようとしても、絶対に入らないのである。衣替えのたびに、押入れに入っていたはずのダンボールが必ず2個ほど入りきらなくなる私そのものである。 なので、会社のデスクの上は常に書類で満杯だ。同時にいくつもの処理をしているときには、全ての書類を手の届くところに置いておかないとワケが分からなくなるので、いつもそうしているのだが、第三者から見たら、「片付けろや」と思うに違いない散らかり具合なのだ。 そんな私よりも、机が散らかっているのが、上司のSさんだ。 今日、Sさんと二人で日帰り出張することになった。Sさんの運転する車の助手席に乗る。私は場所を知らないが、Sさんは何度も出向いているので、「道順を知っている」そうだ。 高速道路に乗り、目的地の成田空港へ。1時間半ほどたったが、「成田」の看板は全く見えない。不安になり、途中のガソリンスタンドで道を聞く。 「それ、逆方向ですよ。ここから5キロくらい行ったらインターがあるから、そこで一旦出て、またお金払って入ってください」 まさか逆方向にグングン進んでいるとは思わなかった。本当に彼は、今まで何度も出向いているのだろうか。 無駄な時間とお金をかけ、再度高速に乗って逆方向へ。成田で作業を済ませ、今度は取引先に向かう。取引先は千葉にあるので、成田から近いとSさんは言った。 近いはずなのにSさんはなかなか高速を降りようとしない。そしてしばらく経ち、目の前に大きな看板が見えた。 Mizurin「あの・・・茨城県って書いてありますけど」 Sさん「えっ!?どこに!?」 そのまま7キロほど進み、高速を降りて、また金を払って逆方向へ。 そのせいで取引先への到着も遅れ、昼ごはんを食べそびれ、帰社時間も大幅に遅れた。 相当疲れたが、もっと疲れているであろうSさんにグチは言えなかった。Sさんはがんばったのだろう。そのことを私はよく知っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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