「蝶々さん」
2011年にNHKで2回に分けて放送されたドラマ。 「蝶々夫人」というオペラがあることは知っていたが、その内容は全く知らなかった。 その実像はこうだった、という市川森一の小説を作者自身が脚本にしてドラマ化したもの。 もちろん、内容はフィクション。 明治初期、父を失いながらも武家の娘として育てられた主人公は、英語を学び、渡米を夢見ていたが、長崎の遊郭の養女となる。養母は優しくしてくれるが謀殺されてしまい、苦難の人生が始まる。救いの手を差し伸べてくれる人たちもいるが、舞妓として生きることになる。 アメリカの海軍士官が、一時的に現地妻として一緒に暮らす「長崎式結婚」の相手として主人公を選び、心は通い合うものの帰国してしまう。 主人公は真実の結婚と信じて疑わず、子を産む。 物語は悲劇的に終わる。 全体は、偶然とは思えないような後世の出会いの中で語られる形になっている。これは若い男が、意図的に会いに来たということなのだろう。 宮崎あおいは可憐で、舞妓となっても少女らしさが失われない。 女優陣も多彩でなかなか見応えがあった。