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カテゴリ:日本のミステリー小説
みなさん、こんばんは。オリンピックが始まりましたね。
今頃体操を見てますか?なかなか外部の音に乱されてしまっていつもの調子が出ないようです。 さて、今日紹介するのは京極夏彦さんのミステリです。 魍魎の匣 / 京極夏彦 14才の女子学生・頼子は同級生の加菜子に憧れていた。ある夜湖への旅行を誘われた頼子は、喜んで加菜子に同行するが、彼女が列車から転落して重態に。茫然自失の頼子に事情聴取したのが、たまたま居合わせた刑事・木場修太郎。折しも小説家・関口巽はカストリ雑誌の編集・鳥口にバラバラ殺人の話を聞き興味を持つ。探偵・榎木津は父親経由で行方不明になった少女・加菜子の捜索を依頼される。バラバラに動いていた彼等が、京極堂の元に集った時、そこに現れる事実とは? 第一作『姑獲鳥の夏』同様、冒頭には何者かの視点から見た風景と心情描写が続く。但し旧仮名遣いで表記されている点が引っかかる。もしかしたら、これは? 次に女子学生・頼子と加菜子の物語が、後者を主軸にして語られる。なかなかレギュラーメンバーが登場してこない。やっと33pにして刑事・木場修太郎が現れた。 おや、今度は彼が主人公で、彼の視点=読者の視点となるわけか。でも単数視点ならではの特徴を使った前回のトリックは、さすがに二度は使えまい。そこは充分心得ていたようで、今回は複数視点からの語りになっている。 主要メンバー4名の思考パターンは見事にばらばらだ。 1.木場 現実重視派 2.榎木津 自分の目で見える事(本人は無意識だが実は非現 実)を信じる 3.関口 非現実と現実の間で揺れる=読者視点 4.中禅寺 非現実と現実の全てが見えている 視点2で語られると断片だけになるので、読者には何の事だかわからない。また、何でも知っている者の視点4で語られてしまうと、語るべき物語がない。なので、物語は主に視点1と3-極めて読者に近い視点-で語られる。 このように見事にバラバラな視点を持つ登場人物達が、事件の中心にアプローチしてゆくと、パンドラが開けてからっぽになった箱に、何かが詰め込まれてゆく。更にそこに、冒頭に登場した旧仮名遣いの書き手知らずの文が混ざり、時制や事件との関係について、大いに読者を惑わせる。匣が「みっしりと」した状態になった所に、憑物落としがぶつかってゆく。黒衣Vs白衣、科学者Vs呪術、ビジュアル的にも非常に対比がはっきりした対決は、いかにもクライマックスにふさわしい。 とにかくこの本、ストーリー構成が巧い。犯罪の全てにキイ・ワードである匣匣が関係し、建物の構造や小説の中にも登場し、かつ人間の外面と内面をはじめ、様々な比喩に用いられている。更に、この本を読む事自体が、まるで緻密に複雑に作られた展開図を順番に組み立てて、一つの箱を作り上げていく作業のようだ。 入れ子構造である江戸川乱歩の『押絵と旅する男』に何となく似通うものを感じたので、このレビュータイトルにした。但し本作は、入れ子の中が外をぱくりと喰う、かなり恐ろしい読後感を残すが。京極堂シリーズ第二作であり、日本推理作家協会賞受賞作。 【中古】 魍魎の匣 / 京極夏彦伊藤書房ネット事業部 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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