映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。
ソフィー・コッポラが作ったガ―リ―ムービー『マリ―・アントワネット』では彼女の衣装がおしゃれでしたね。でも実際の彼女もおしゃれさんでした。ちゃんと指南する人がいたのです。
もちろん、その金使いの荒さが問題にもなりましたが…。

ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣
Rose Bertin-Conturiere de Marie-Antoinette
ミシェル・サポリ
白水社

ソフィア・コッポラの映画「マリー・アントワネット」では、ガ―リ―ムービーのヒロインのように描かれていたフランス王妃マリ―・アントワネット。フランス宮廷デビュー時にはぱっとしない子だった彼女を、ファッションリーダーに仕立てたモード商にスポットを当てたのが本書である。

　ローズ・ベルタンという名前は本名ではない。ローズは愛称で本名はありがちなマリー・ジャンヌ。最初は髪結いをしていたが、仕立て屋で働いていた時に、そのファッションセンスをやんごとなき人々に気に入られ、マリ―・アントワネットが王太子妃だった頃に引見を許される。パリのサントノレ街に自分のブティック「オ・グラン・モゴール」を持ち、モード商としての彼女の人生が始まる。モード商は、服を仕立てるだけでなく、服飾小物などの装飾品も扱っており、ファッションのトータルコーディネイターだ。彼女のファッションセンスが、ファッションリーダー、マリ―・アントワネットを作ったと言っても過言ではない。

　平民出身から王妃専属のファッションデザイナーにのぼりつめた彼女の生涯はいわゆるサクセスストーリーでもあるが、やり手であることは、つまりは強引とみる人もいる。顧客が他の商人に発注すると、怒って次の注文を断ったり、ライバル排除に動いた癖の強い所もあったらしい。副題の「マリー・アントワネットのモード大臣」というのは、もちろんそんな役職はなく、揶揄である。「アントワネットが賭けごとや衣装に派手にお金を使ったせいで国庫が傾いた」と信じられていたからだ。しかし実際は国庫の王族費はわずかであり、ファッション産業が注目を浴びることにより多数の雇用を生み出し、また、ベルタンのドレスが海外でも評判を呼び、重要な輸出産業であったらしい。

　また、マリ―・アントワネットとは単なる金だけのつきあいではなかったらしく、フランス革命で彼女の立場が劇的に変わったあとも、金を貰わず衣類を提供していた友情に厚い所もあったそうだ。「二人で、フランスファッション界のてっぺんを目指しましょう！」などという熱い友情＆サクセスを描くドラマティックスト―リーに仕立てることなく、全編に亘り淡々と描かれていた。


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