映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。今日は残業の後皆で食事をしにいってちょっと疲れています。
韓国の大統領決まりましたね。これから安定していくのでしょうか。アメリカの動きも気になります。

こちらは『レベッカ』で有名なあの作家の短編集です。

人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)
The Doll and other stories
ダフネ・デュ・モーリア

表紙絵は聖書の有名なエピソード『受胎告知』のようだ。だが『受胎告知』のマリアが天使を見て喜びと怖れに震えていたのに対して、この女性はただ恐れているように見える。そう、恐怖は日常のそこここに転がっていて、私達はふとしたきっかけでそれに気づくのだ。

　『そして手紙は冷たくなった』は、言ってしまえばタイトル通りの内容だが主人公たちの描写が一切ない。男性側の手紙のみが最後まで続く。最初は女性に熱烈な愛を告白していた男性が、いざ目的を果たすと次第に冷めていく…という、恋愛でありがちなパターンだ。現在で言うなら女性の行為はストーカーだろうが、あくまで一方のみの情報なので、これだけでは、女性が粘着気質なのか、または男性が気にし過ぎているのか、或いは被害妄想なのか、という様々な可能性が渦巻く。『笠貝』のヒロインのような、悪意に無自覚な人物はいずれなのか、第三者的判断ができかねる。

　『飼い猫』は母にとても若い男性の恋人がいる少女が主人公だ。勿論少女は男性の正体を知らないが、皮肉な事に美しく若い女性になる娘に嫉妬する母親が、三者の関係を変化させてしまう。変化の先の骨肉相争う女の戦いが恐ろしいが、モーリアは本篇も含めてクライマックスを描かない。そこは読者の皆さんでどうぞ、と言いたいようだ。タイトル作の『人形』も同様で、彼女に恋焦がれる男性も読者も男性を袖にし続ける罪な女性レベッカ(そう、あの名作の登場人物と同名)が本当に焦がれている存在を一目見たいはずだが、モーリアはそうしない。クライマックスは読者の心の中で個々に繰り広げられる。

　さあ、あなたの頭の中には、どんな風景が浮かんでいますか？


【送料無料選択可！】人形 デュ・モーリア傑作集 / 原タイトル:THE DOLL AND OTHER STORIES (創元推理文庫)[本/雑誌] / ダフネ・デュ・モーリア/著 務台夏子/訳

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