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March 27, 2019
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みなさん、こんばんは。
トランプ大統領がまたイスラエル寄りの発言をして物議をかもしていますね。
国のトップには責任が伴います。

今日と明日は20世紀イギリスを率いたチャーチルとインドのカリスマガンディーの本を紹介します。

ガンディーとチャーチル(上):1857-1929
Gandhi &Churchill The Epi Rivalry That Destroyed an Empire and Forged Our Age
アーサー・ハーマン
白水社

本作は、歴史で習ったシパーヒー(セポイ)の乱から始まる。インドを絶対的植民地として信頼していたイギリスに、東インド会社インド人傭兵シパーヒーが牙をむいたのだ。きっかけは新たに支給されることになっていた新式の銃の薬包の紙に塗られていた牛脂・豚脂である。シパーヒーの中にはヒンドゥー教徒もムスリムもおり、ヒンドゥー教徒にとっては聖なる動物の牛脂を口に触れることは許されず、イスラム教徒にとっては汚らわしい豚の脂が口に触れることは我慢できなかった。反乱は平定され、担ぎ出されたムガル帝国最後の皇帝は流刑、ティムール朝から数えて約500年続いた王朝は完全に消滅した。

 そしてインドとイギリスに、運命の男性が生まれる。ウィンストン・チャーチルとモーハンダース・ガンディーだ。ザ・英国紳士でシルクハットもぴしっと決めるチャーチル。手織りのマントと腰布を身にまとうガンディー。チャーチルは亡き父の野望を叶えるために、ガンディーは「すべてのインド人―ヒンドゥー教徒とムスリム、ブラフミンと不可触民、ベンガル人とパンジャーブ人―によって、一つの国家、一つの民族を構成する」ために、お互いインドを大事な存在と思う二人はぶつかる。

「英国の使命は“われわれの知識、法律、より高度な文明”を用いて、インドの二億三千万人の人々を”偉大にして、統一された人々のなかに”結びつけることにある
インドなくしては、大英帝国は歴史の中で心臓発作を起こして死滅することになる」
というのがチャーチルの持論。一見インドを大切に思っているようだが、チャーチルにとってはインドは大英帝国の一部であり、帝国の繁栄が第一目的である。

他方ガンディーはといえば
「インドの救済は、インドが過去五十年の間に学んだことを捨てることにある。鉄道、電信、病院、弁護士、医者などといったものは捨てられねばならず、いわゆる上流階級は意識的に、信心深く、慎重で、質素な農業生活を生きるべきで、そうした生活を知ることで、真の幸福を知るようになる」

と、かなり極端な意見を発表する。文明と名の付くものは全て英国から与えられた事実は否定できない。だからといって、一度手にしたものを人間が拒否するのは難しい。どんなに高度で優秀な薬があっても、病院や医者を頼らず原始的な薬草で治せと言っているようなものだ。

 現時点では、どちらの考えもインドのためにはなっていない。また、非暴力主義だったガンディーが第一次大戦で徴募活動を行う。一見矛盾した行動に見え、
「戦いにおいて息子たちを犠牲にするのは、苦痛ではなくして、勇気ある男にとっての喜びの源であるべきだ」
という意見も当時の人々がすんなり受け入れたわけではなかった。ガンディーは、南北戦争で黒人が参加した時のような希望
「インドは、こうした行為によって大英帝国におけるもっとも好ましい仲間になり、人種差別は過去のものとなろう」
を抱いていたが、これは甘かった。

上巻のラストでは、引退同然のチャーチルと、刑務所でやせ衰えていくガンディーという姿になっているが、二人がこのまま終わるわけではない。二人の戦いは、まだ始まったばかりだ。



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最終更新日  March 27, 2019 12:00:43 AM
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