映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。アメリカだって他人事ではなくなってきましたね。非常事態宣言が出ましたよ。そして株価暴落が止まらない。
今日はミステリを紹介します。

キャッツ・アイ
The Cat’s Eye
R.オースティンフリーマン
ちくま文庫

助けを求める若い女性の叫び声に、帰宅途中の弁護士アンスティが駆けつけると、そこには男女が激しく組み合う姿が。男は逃走、脇腹を刺された女性を運び込んだ近くの邸では、アンドリュー・ドレイトン郷が宝石コレクションの陳列室で殺害されていた。事件は単純な強盗殺人に思われたが、被害者の弟ローレンス・ドレイトン卿は警察の捜査に納得せず、ソーンダイク博士の出馬を要請する。

　脇腹を指された女性ウィニフレッド・ブレイクを、ソーンダイクと送っていったアンスティは彼女にメロメロ。

「彼女はシャロットの姫君を連想させるし、マーリンが囁く魔法の呪文が、心地よい響きのハーモニーになりそうなほど似合っているのだ。」
「目の覚めるような美しい女性だ―少なくとも私には。」
「前夜の悲劇的な出来事で知った、彼女の性格に宿る勇気と強さ、それに、洗練された物腰と気さくで品のいい礼儀正しさ、知性と心からの優しさ、品位を損なわぬ素直な行為は、みな一つとなって、その気高く素敵な個性をなしている。そして、あの絵画。彼女の作品だとしたら、かなり才能のある芸術家だ。」

　アーサー王のランスロットを恋焦がれるシャロット姫に例えてるが、ウィニフレッドことウィニー、犯人らしき男と格闘してるから！英国紳士は好きな女性に姫フィルターをかけるのか。

　この後もアンスティの恋心は止まらず、彼女と弟が毒殺された図が夢にまで出てきて眠れないとか、「パーシー(ウィニーの弟)があなたのことを大好き」と言ったウィニーにどさくさに紛れてで、「パーシーのお姉さんの方は？」と聞くなど恋心が止まらない。いや、捜査しろよ。

　探偵ソーンダイク博士の一人勝ちが予定調和なのだが、皆が博士を信用しすぎて警察に情報が行かないのも問題では。例えばウィニーはどさくさに紛れてアンドリューが持っていたロケットを持ち出してしまうが、「返しましょうか」という彼女をアンスティ達は止める。重要な手掛かりが刻まれているのだから本来なら警察にわたすべきだ。

　また、アンスティが悪夢を見る元になった事件や、ウィニーが何者かに攫われる事件が起きるのだが、そうした情報も一切警察に通報しない。これはかなりアンフェアな捜査協力なのでは。

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キャッツ・アイ （ちくま文庫　ふー51-2） [ R・オースティン・フリーマン ]​​楽天ブックス​