映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。
マレーシアでは18日から2週間全土封鎖に入りました。
まだまだ広がっていますね。コロナウィルス。

さて今日はカリン・スローターの人気シリーズを紹介します。


ハンティング（上下）
Undone
カリン・スローター
ハーパーBOOKS

​著者のデビュー作『開かれた瞳孔』のヒロイン・検視官サラの所に車に撥ねられた女性が担ぎ込まれる。しかし彼女は単なる交通事故の被害者ではなく、全裸で拷問された跡があり、肋骨が一本もぎ取られていた。ジョージア州捜査局の特別捜査官ウィル・トレントは事故現場に向かい、森の中で拷問部屋を見つける。

　　カリン・スローターの人気シリーズ『グラント郡シリーズ』と『ウィル・トレントシリーズ』が本作で遂に交差。後者は、190cmの長身で夏でもスーツ姿でとても刑事には見えないイケメンだが、秘密を抱え、あるスイッチが入ると暴走するちょっと危ない彼が、暴力の限りをつくした事件のストレスに耐えながら事件に立ち向かう姿を追うシリーズ。普通タイプの異なる女性がこれだけ周囲にいると、恋の矢印がいくつも飛び交ってもよさそうなものだ。案の定前者のヒロイン、サラが押しの強くないウィルに惹かれ、彼女の存在に気付いた妻アンジーとの間に第五作『血のペナルティ』でひともんちゃく起こる。

　孤児院育ちの養護施設にいた幼少期からウィルの近くにいたアンジー・トレントは元警官。ウィルシリーズ二作目『砕かれた少女』では恋人だった彼女は、本作で彼の妻になっている。だが言葉と体をぶつけあう場面では、お互いを傷つけあう破滅型カップルになるのは目に見えている。他人にはわからない絆で結ばれている様子なのが厄介なところだ。ウィルのパートナー、フェイスは、14才で妊娠して今や一児の母という、刑事としては異色の生い立ち。現在も妊娠中で、重い糖尿病を患っていることがわかる。女性だからといってウィルの背中に隠れる気は毛頭なく、かえって「何故仲間外れにしたんだ！」と彼を責める勢い。ウィルの上司アマンダは人種差別と女性蔑視が甚だしかった70年代に入所しジョージア州捜査局の副局長の地位に上り詰める。部下を護る姉御肌の所もあるが、突然暴発するウィルを揶揄する場面もある。そしてもう一つのシリーズのサラも、殉職した夫のことが忘れられないながらも事件に立ち向かう。ウィルの周囲は女性でいっぱいだ。酷い目に遭わされるのも女性ならば、彼女達を救おうと奮闘するのも女性。これだけ個性的な女性達に囲まれると、さすがにウィルの分はすこぶる悪く、女性達の強さが印象に残る。


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