映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。プロ野球もJリーグも開催時期をずらしてきましたね。
今日もカリン・スローターの人気シリーズを紹介します。

血のペナルティ
Fallen
（ハーパーBOOKS　76）
カリン・スローター

　捜査官ウィルのパートナー、フェイスの母イザベルが自宅から姿を消した。自宅は血の海で切断された薬指が残っていた。駆けつけたウィルは、4年前、彼女の率いる麻薬捜査課の部下たちが汚職にまみれて刑務所送りになり、彼女だけが無罪放免となったことの報復を疑う。事件を洗い直すためウィルは服役中の元部下を訪ねるが、面会の直後、彼が獄中で殺害されてしまう。


　ディスレクシア(識字障害)、施設育ち、女難の相と三重苦揃ったウィル・トレントシリーズ第五弾。シリーズ第一作から読まないとだめ？という思いもあったが、全てではないにしても主要人物の性格や人間関係は掴める。事件発生から三日間における本編全体のボリュームが多い。逮捕し容疑者を拘束できるタイムリミットであり、災害発生時の生存率が下がるリミットでもある。

　本編では主人公のパートナーの家族が事件に巻き込まれるため、本来ならば主人公が大活躍するべきところだが、彼の周りの女性達の方が断然強い。まず母親を攫われたフェイスが当然ながらじっとしていない。本人も出会いがしらに犯人(の一味)と思しき人物を射殺しているのだから待機という名の拘束状態にあってもいいはずなのに、母親の手がかりをつかもうと独自に動き出す。母親がいない今、事件の裏事情を最も知っていそうなウィル＆フェイスの上司アマンダは、肝心な所は口をつぐみながらも捜査の指揮を剛腕で奪還し、ウィルの複雑な恋愛事情にまで首を突っ込む行き届きすぎの気配りを見せる。ウィルの新たな恋のお相手サラがこの中では最も“弱い”方だがウィルはそれでもアマンダから「あの人(サラの前夫)の後は大変よ」と言われてしまう。事件の方は捜査側の意図的な情報隠しもあってなかなか進まないが、人間関係は複雑に入り乱れる。「著者はウィルをどこまでいたぶるか考えながら作っているのでは？」という意見も。

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