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みなさん、こんばんは。ゼレンスキー大統領は東部ドネツク州のスビャトヒルスク修道院をロシア軍が攻撃したと交流サイト(SNS)で明かし、非難しました。歴史的建造物である同修道院には子供ら300人が非難していました。今日もシュテファン・ツヴァイク作品を紹介します。
ツヴァイク全集 17 権力とたたかう良心 Ein Gewissen Gegen Die Gewalt シュテファン・ツヴァイク みすず書房 1938年3月12日、ドイツ軍がオーストリアに侵入して全土を占領し、オーストリア・ナチスが政権を掌握。3月13日にアンシュルス(合邦)が宣言される。ロンドンへ亡命することを決意したツヴァイクは、1935年にはスイスのチューリッヒで本書の執筆を開始した。 ジョン・カルヴァンはジュネーヴ市の宗教改革に着手したものの、一端は追放を余儀なくされた。ところが1541年には、市民の懇請によって戻り、以後30年近くにわたって、神権政治を行って同市の教会改革を強力に指導する。一切の祭日を無くすなど、市民の日常生活にも厳しい規律・戒規を求めた。1553年、カルヴァンの手の者によって異端者として告発された旅行中の神学者ミゲル・セルヴェートは、ジュネーヴ市当局によって生きながら火刑に処された。この事件に対して、セバスチャン・カステリオンなど反カトリック陣営がカルヴァンを非難した。本作のメインはこの事件である。 自己肯定と他者排除がセットになる者に対して鋭く批判するツヴァイクの姿勢はエラスムスの勝利と悲劇でも描かれたが、本書はより鋭い。 「つねに自説を正しいとすることは彼の身についてしまった本性であって、ほかのひとがそのひとの立場からすればやはり正しいかもしれないなどということは、とうてい考えてみることもできなかったからである。ひとを教えることは彼だけに許された転職であって、ほかのひとたちはみな彼から教わらなければならない。」 「ひとがカルヴァンをたとえ学問的にでも反駁すると、それは「神の僕」にあらわれた「神の栄光」をはずかしめたことになり、サン・ピエール教会の説教者そのひとをつかまえて傲慢だと言ったりしようものなら、それは「キリストの教会を脅かした」ことになった。」 ユダヤ人を迫害し反対派を粛清する全体主義を体現するカルヴァンをヒトラーに、強大な権力にただ一人逆らい良心と思想の自由のために戦い破れたカステリオンを我が身に重ねている。そして肩入れしているのは孤軍奮闘する後者。 「カルヴァンがセルヴェートと虐殺したのを見て良心をつよくかきたてられると、はじめて彼は自分の良心的な仕事から起ちあがり、踏みにじられた人権の名においてカルヴァンを告発したのであった。そのとき、彼の孤立は英雄的な偉大さにまでたかめられた。なぜかというと、彼の相手である千軍万馬のカルヴァンとちがって、カステリオンはその背後に彼を擁護し支持してくれる狂暴な、密集隊形の、計画的に組織された徒党をもたなかったからである。カトリック派にせよ、プロテスタント派にせよ、彼を支持する党派はひとつもなかった。」 最期を知るだけに「これだけ強い意思を持っていたならどうして?」とツヴァイクに問いたくなるが、ふと心が弱る瞬間があったのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 16, 2022 12:00:21 AM
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