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みなさんこんばんは。米ハワイ州のジョシュ・グリーン知事はマウイ島の山火事の行方不明者が約1050人に上ると米CBSのインタビューで明らかにしました。今日も河出書房新社から出ている世界探検全集から紹介します。
エベレスト登頂 (世界探検全集) The Ascent of Everest ジョン・ハント 河出書房新社 今でこそ観光登山も行われ、『夜明けまえ、山の影で エベレストに挑んだシスターフッドの物語』のように冒険家やプロフェッショナルの登山家だけの存在ではなくなったエベレストだが、かつては世界最高峰を誰が最初に登るかが焦点となった。イギリス第9次遠征隊が、遂にエベレスト初登頂を成し遂げた。エドマンド・ヒラリーもサーの称号を得て卿になり、隊長ジョン・ハントもサーの称号を受けるなど、軒並み表彰された。 本書は登頂に向けて隊がどのような準備をしていったかという詳細な記録である。著者はてっきり登頂を果たしたヒラリーかと思っていたら、主に隊長だった。但し、登頂当日については、ヒラリーの文章が載っている。イギリス隊の前に挑戦した人々への敬意と、協力者への感謝が随所で語られる。その中には、不幸にして遭難したマロリーもいる。「所詮勝者の余裕だ」と揶揄する向きもあるかもしれないが、隊長の善良かつ謙虚な人柄がにじみ出るような内容である。そんな人柄でなければ、総勢50名を超える、国も異なる探検隊を、とてもまとめられない。 同じイギリス探検隊であっても、とことん不運に見舞われた南極を目指したスコット(『世界最悪の旅 (世界探検全集)』参照)に対して、本隊は幸運に見舞われる。ヒラリー自身も“持って”いた人である。勿論、遠征隊に選ばれたこと自体実力と実績は申し分なかったが、隊員は面接で決める方針だったハントが、面接なしで採用を決めたうちの一人だった。更に、彼等はもともと第二次アタック隊だった。つまり、第一次アタック隊が成功すれば、彼等の出番はなかった。様々なラッキーが重なって、彼を頂上に押し上げた。 ただし、運だけが成功に導いたのではない。アタックは二度と決め、そのための訓練や準備に多くの時間と費用が費やされた。やはり死んでしまっては何もならない。無謀な挑戦ではなく、どうすれば失敗を防げるのかをとことんまで突き詰めて考え、実践していった様子が伺える。また、隊員に選ばれた人達の選択基準が「頂上を狙う気概を持つ」事なので、誰もが頂上に立ちたいと思っている。その中で最終的に誰を選ぶのか。隊長が大いに悩んだことだろう。そうやって精鋭を選んだとしても、なおその前に、人間の力ではどうにもならない自然の脅威が立ちはだかる。最後は挑戦者の気力・体力・そしてそれ以外の何かが物を言う。 登頂報告が故エリザベス女王の戴冠式にちょうど間に合った。新たな君主誕生に、なんといいはなむけになったことか。探検で土をつけ続けていた英国が、最後の最後で華やかなリベンジを果たした。 エベレスト登頂 (世界探検全集) [ ジョン・ハント ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 31, 2023 12:00:25 AM
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