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みなさんこんばんは。ツイッターのトレードマークとも言うべき青い鳥がなくなり、バツマークになりましたね。今日も河出書房新社から出ている世界探検全集から紹介します。
アジア放浪記 (世界探検全集 03) Peregrinação フェルナン・メンデス・ピント 河出書房新社 文12(1543)年ポルトガル人を乗せた中国船が種子島に漂着。その時島主の種子島時堯がポルトガル人から鉄砲を入手し,その操作法と製法を家臣に学ばせたのが、所謂鉄砲伝来と言われている。そしてマラッカで1547年12月に出会った鹿児島出身の武士ヤジロウ(アンジローとも言う)に勧められ、フランシスコ・ザビエルは日本にやってきた。 ところがピントは自分が種子島に来航して、鉄砲を伝えたポルトガル人の一人であると自称し、ザビエルに日本来航の機縁を作ったのも自分だと書いている。反論できる同行者がすぐそばにいないのだから、言ったもん勝ちである。 さて、ピントなる人物、果たして何者なのか。ポルトガル人であることは間違いない。放浪記は1537年から始まる。以後20年間、アジア各地を放浪。その間5回難破し、13回奴隷となり、16回売られた。いや、波乱万丈ありすぎだろ! 1537年、旅に出る前に、まずフランスの海賊船に捕まっている。イギリスが登場する前のポルトガルは、海洋王国であり、植民が盛んだった。しかし彼等のいずれも、蓄財した後は、なるべく早く本国に帰ることを目指していた。それなのに、ピントは1539年マラッカに行くと軍隊に入り、スマトラ方面に出征。翌年には中国沿岸の海賊行に加わり、41年から43年まではビルマ、シャム地方で活躍(これ、活躍って海賊のことだから!)。1544年にジパング登場。1546年日本渡航の帰途、アンジロウという日本人をマラッカに送った。このアンジロウがザビエルに会っている。辻褄は合っている。ピントは大友義鎮に謁見した後シャムへ。1552年ザビエルは中国伝道の旅の途上で亡くなったが、ピントはシャムで大財産家に。今度こそ帰国しようとゴアに行くが、なぜかイエズス会に入会。そして1556年に脱会(脱会早っ!)。1557年ゴアに戻り、58年遂に20年ぶりにポルトガルに帰国。 “放浪記”という響きに騙されてはいけない。例えば海賊船に遭遇した時のエピソード。船長はユダヤ人だったが、愛する女のためにイスラム教に改宗(をを、純愛だ!)。しかしピントはキリスト教への再改宗を勧め、断られるとピント側の船長は、足と手を縛り、首に重い石をつけて、生身のまま海に投げ込む(酷くない?ねえ、酷くない?)。またある時は、王の使いとして出向いた先で「実は王がマラッカの隊長を助けに来る時、大きな船が通ることができるかどうか、川の深さを知りたい。」と聞く。目に涙を浮かべるほど感動した王は喜んで教えるが、実は船でアシェンに攻めこむための情報収集だった。またある時は「住民は信用できないし、変な虫はいるし、小舟を丸のみするワニも人間の股のような紡錘形の頭の毒蛇も、身の丈が番犬ほどの猿もいる。さっさと国に帰りたいよう」と嘆いていたにも関わらず、うまい儲け話がくると、ふらふらっと流れてしまう。結局の所、本人が旅好き、金好きなのだ。 結構えげつないこともやっている。だが、どんなにえげつなかろうと、ピントが向いていたのは本国の国王たちだ。「国のためになることをこれだけやりました。蓄財もしました。」とアピールし、帰国後、これまでの功績や財物について、国王からの優遇を期待していた。ところが立証する書類が政府に4年間も握りつぶされる。ここは可哀想だ。失望した彼はアルマーダに隠棲して放浪記を書き始めた。つまり本書は、彼の無念が詰まっている記録なのだ。 アジア放浪記 (世界探検全集) [ フェルナン・メンデス・ピント ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 2, 2023 12:00:28 AM
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