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カテゴリ:摂食障害
最早スーパーマーケットまでの道程を、遠回りで行く
と言う事が習慣になった。その方がより長い時間 空を見上げていられるし、緑の匂いを感じられる。 刻一刻と形を変えていく雲を目で追うと、暖色の 夕陽がほんの少し顔を覗かせていた。 そして何年振りであろうか、蝉の抜け殻を見つけた。 少しでも力を加えると、脆く壊れそうな半透明な 抜け殻であった。凄く懐かしくて持って帰りたかったが、 バッグに入れると他のものに押し潰されて、 自然の創造した形を壊しそうなので、元あった場所に 置き、また歩き始めた。 五感を鋭くして得られるものは、時に懐かしさを呼び起こす。 子どもの頃、蛇の抜け殻や蝉の抜け殻は結構身近に あったので、1人外で遊びまわっていた自分を想い出した。 懐かしさを感じると、美化された良い想い出だけが 浮かび、悪くない。 スーパーから帰る頃、雨の匂いがした。 暮れた暗い空を見上げると、灼けたアスファルトを 打つ雨が降っていた。 傘が無かった為、濡れながら帰宅した。 しかし、これまた懐かしい雨の匂いであったので、 堪能できただけで嬉しく、雨に濡れた事を帳消しに出来た。 金平糖をかりりと噛む。カラフルな金平糖は 子どもの頃、緑色はメロン味、ピンク色はイチゴ味、 黄色はレモン味だと思い込んで食べていた。 ただ人口着色料で色付けしてあるだけなので、 味が違う訳無いのであるが、何故か思い込みの力で、 甘い甘い金平糖を楽しんで食べていた。 3時間睡眠だった昨日、眠くとも昼寝も夕寝も 出来なかった。これは新薬の所為であるので仕方が無いが、 流石に夜中から朝方の間、2度目の過食嘔吐を始める時間に なると、感覚神経が過敏になって苦しかった。 それでも無理矢理食べ物を詰め込み、淡々と黙々と食べて行き 限界を向かえ胃の中を空っぽにした。 虚しさを抱えつつ、片付けを終えた頃、ばったり寝床に 倒れこんだ。しかし服薬せねばならないと思い立ち、 いつも服用するお薬+αで眠る事にした。 そして、深い深い眠りに堕ちた。 何度か夢は見たが、全く断眠も無く、ぐっすり眠った。 7時半頃眠り、起きると17時半であった。昨日の分まで 睡眠を補ったような感覚である。 眠っている時だけが幸せである。 過食嘔吐しないで済むし、 それを必死で我慢しなくて済む。 今、何よりも辛いのが、日中の過食衝動を我慢する事 である。お腹が空いても、ストイックな様で何も食べない。 許せるのは飲み物だけである。 しかし最近、水さえ許せなくなってきている。 当然の事であるが、水を飲むと排泄されるまで、お腹が 膨らんで見える。 例え中身は水でも、お腹が膨らんで 見えるという事が許せないのである。 太ってしまったという感覚があるから・・・。 だからもう、朝からシャワーを浴びてスーパーへ行く時間まで ずっと眠っていたいのである。 何も口にせずお薬だけ服用して、1日の内唯一の 楽しみである発泡酒を飲めたなら、それで良い。 シャワーを浴びたり、トイレに行ったりする度に 膨れたお腹を見るのは辛い。常に平らでないと許せない・・・。 勿論この考えが歪んでいる事は分かっている。 しかし頭は言う事を聞かない。これが摂食障害である 所以であろう。 こうして毎日、 『摂食障害の症状』 『抑うつ状態』 『苛々・寂しさ・心細さ・哀しさ』 に振り回されている。 とても困ったことであるが、きちんと受け止める事が 必要であろうと感じる。けれども、余りに重くなったら 半分くらい横に置いてみて、荷物を軽くしても良いと思う。 でもその存在を忘れず、自分を創造していく為に 『大切なものである』という自覚を持つのも、必要である。 困った自分を自覚しているという事は、 『ある意味平和な状態』であるとも言える。 困った状態を何とか打開せんとして、パニックに陥って しまっては本質が何であるかを見失ってしまう。 けれども、主治医の言うことが全てでは無い事が 此処で分かるのであるが、困ったらどうにかしたいのである。 落ち着いてなどいられない。 例え、『困っている状態が、ぎりぎりの平和な自分』であっても どうにかしたいのである。 だからこそ病気の症状が出てくるのである。 病気の症状は、ある程度暴れたら落ち着きを取り戻してくれる。 なので、邪険にも出来ない。 心の栄養となるもの・・・ 例えば『懐かしさ』などで五感を愉しませる事であろうか・・・。 それらを自ら見出し、偶には気分を転換させ ゆったりとした時間を過ごしてみたいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.08.13 21:52:26
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