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カテゴリ:摂食障害
心身共に疲れ果て、ぐったりする頃
やっと私の1日が終わる。 木曜日も可燃ごみの日なので、 いつもより早目にゴミ置き場へ向かった。 まだ早朝の薄暗さを保ったままの空は 物憂げで寂しく、ただ、空気だけは 優しかった。冷たい風に身を任せ、 小声で歌を口ずさみながら歩いた。 気付けば何だか独り言が多くなっているので 自分に対して苦笑をもらす。 病気の為に他人と関わりあう事が 少なくなり、会話をするのは母と主治医と カウンセラーが主である。 母と暮らしていても別々の部屋にいるので、 声に出して自問自答している事が多い。 「どうしようかなぁ。」 「ああ、こうしよう。」 「あれどこに仕舞ったっけ?」 「ああ、あったあった。」 等、いちいち声に出さなくてもいいのに、 いつの間にか自問自答しているので笑える。 しかし、過食を始めると途端に無言になる。 過食から嘔吐までその間中、何も言葉を発さない。 それは心の余裕が無いからであろうと感じる。 無我夢中になって一連の作業をしており、 作業に没頭しているので、周りの音も フェイドアウトしていく。 だから過食嘔吐と言う病症は、 自分の殻にどんどん閉じ篭っていく感覚がある。 後片付けが終わった時に、やっと殻から出てくる 感じなのである。 だから病症が出ている時だけ、 こころが保護されていて、傷付く事から 逃れているのであろうと想う。 過食と嘔吐の場面は凄惨なものがある。 きっと目の前に大きな鏡を置き、 それに映った自分を見ながら一連の作業は 出来ないであろう。 目を背けたくなる程、醜いものだからである。 だから半ば解離して、意識をどこかに追いやり 苦しいけれども、全て嫌な事を忘れられるから この作業を毎日やらないではいられないのであろう。 夜、スーパーまでの道々を歩いていたら、 ふと空が気になった。 星がきらきらと光っていて、 それを縫うように飛行機が光を 明滅させながら飛んでいた。 夜の空気を深呼吸して、歌を口ずさみながら また歩き始めた。 美しいものはそこ等中に零れているのに、 私はその向こう側にある醜いものを見る事に 恐怖を抱き、こころの目さえ閉じてしまっている。 いつからこんな臆病になってしまったのかと 落胆せざるを得ない。 摂食障害を患ってから、やはり 失くしたものは多いような気がする。 時間然り、お金然り、友達然り・・・。 自業自得だと頭では分かっているのであるが、 私のこの12年は、余りにも長いものである。 勿論、得たものもあるだろう。 けれども、今はそれに気付けず、 只管虚しさだけが残った自分に、 気落ちするのである。 けれども、失ったからこそ得たものもある。 今はそれに目を向けるべきであろう。 もう失くすものは何も無いから、 これから様々なものを吸収出来る。 当たり前の様に目の前にあったものも 新鮮に映るのである。 それは自然であり、母の愛であり、 祖父母の優しさである。 他にも沢山あるであろう。 そして病気が良くなった暁には、 今度は私が何かを与えられる人間になりたいと 想っている。大袈裟なものではなく、 一欠片の優しさでも・・・。 いつになるかは分からないが、 希望だけは捨てずに何とかやっていきたいと 考えている。 今はまだ砂上の楼閣の様に、脆いものしか築き上げる事が 出来ないでいる。 そして私のこころの奥底には、 『寂しい・哀しい・心細い・虚しい・苦しい・辛い』 等と言った不安な想いが渦巻いている。 これだけは誰にも頼れないから、自分で何とかするしか 無いのかも知れない。 貧相なのは、見た目だけで充分である。 もっとこころを豊かにしたいと言う欲求はある。 だから今は、それを見抜く目を養う段階なのであろう。 失うものはもう無いと思えば、次々と得られるキャパシティは 充分にあると言う訳でもある。 唯、無理だけはしないようにと毎日言い聞かせねばならない。 暴走するのが自分の悪い癖であるから・・・。 そうしてゆっくりと地面を踏みしめていきたいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.16 20:46:40
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