凍えたココロ

目が覚めたら、一緒の蒲団で

母が眠っていた。

弟が今日の朝やってきて、

母の部屋で眠っていた為である。

次の仕事までちょっと時間があったので

私の蒲団の中で眠っていたようである。

狭い蒲団であったが、２人分の体温で

温められ、ぬくぬくと微睡みの中にいた。

少しだけ母に接近して、母の温もりも

感じた。なんだかとてもくすぐったく嬉しい

気持ちになった。







シャワーを浴びたが、やはりこの寒さであると

直ぐ身体が冷えてしまう。

なので熱々のミルクティーをいれた。

体中がぽかぽかして、優しい甘さが

心地良かった。

そして昨日切った前髪を整えた。

実は伸ばそうと想っていたのであるが、

目にかかってくる頃が一番邪魔臭くて、

我慢しきれず眉の所まで切った。

見た目が随分幼くなってしまった。







閑話休題。

摂食障害を患って長年経つが、

今の主治医に出会うまでは、

『自分は異常で狂っていて頭がおかしくなった』

と言う想いが拭えなかった。

確かに、度を越えて『痩せたい！』との

気持ちはあり、認知の歪みもある。

でも私は今、この病症は自分が狂った訳でもなく、

頭がおかしくなった訳でもないと感じている。

偶々自分の心が救いを求めた想いが、

この摂食障害であったのであろうと考える。



「本当はこうありたい」

「本当はこうなりたい」



と言う気持ちが叶わず、物凄い葛藤を経て

心を病んだ。周囲からの強い責めも一因であろう。

私は、折りしも痩せたい気持ちが高じ、

そんな中、

『良い子のお姉さん』

『良い母親代わり』

であらねばならなかった。

しかし、次第に周りの期待に応える事が難しく

なってきた。その頃から、『ダイエット』が

始まり、摂食障害へと繋がっていったのであろう。

つまり、頭が狂った訳でもなく、おかしくなったのでもなく、

摂食障害の病症で私は救いを得ていたのである。







所が、普通の健常者の目から見たら、

私がやっている事は“異常なもの”と

見えるであろう。それは重々承知している。

でも、どう足掻いたって過食嘔吐は

病症として拭えないものであり、

自分にとって１日を過ごすにあたり、

必要なものなのである。

アメリカでは約７００万人摂食障害を

患っている人がおり、日本もかなり沢山の人々が

苦しんでいる。この症状は、本人が一番辛いのである。

そして辛い事が解っていても止められないのである。

そこを身近な人や家族に責められたら、

こころの逃げ場が無くなってしまうであろう。







時として、私は底なし沼に嵌っていく様に息苦しく

辛くなる事がある。食べたくも無いのに過食を始めて

しまう時、何もしたくないのに焦燥感に駆られて

そわそわと落ち着かなくなってしまう時、

不安で不安で仕方なくて、それを払拭できない時･･･。

そして私はもう『美味しいもの』を食べられない。

只管安くて量があって、直ぐ胃の限界が来るものしか

食べる資格は無いと思っている。

そして自分がやっている事に落胆して、暫くは

立ち直れない。

けれども今の主治医とであった事で、

私は狂っていて頭がおかしいのではなく、

心を病んで生きていく為に必死で格闘している

と言う事が浮き彫りになってきた。

私は明日と言う未来に向かって轍を残す為に

辛苦の中を生きているのである。

その中で、自分を慰められるような楽しい事を

見つけられるだけでも万々歳ではないであろうか。

哀しい事も虚しい事も沢山あるが、

道端に生えている小さな名も知らぬ花のように

力強く前を見据えたいものである。

そして自分の内側だけでなく、

外に目を向けて新しいものを吸収していきたい

と切に願っている。