凍えたココロ

眠りが深いと心地好い。

すっきり目覚められるし

のんびりしていられる。

７時間、眠れたら

充分である。







しかし、少しずつ

眠る時間が

遅くなってきている。

眠ったのは２時だった。

朝型の生活に戻った頃、

０時前後には眠れていた。

ただ、そうなると

６～７時には目が覚めて

時間を持て余し

過食に走ってしまうので

多分、無意識の内に

眠る時間を遅らせて

いるのであろう。

何れにせよ、私は

ずっとずっと眠っていたいと

想っているのである。







ふと、気付いた事がある。

主治医はもしかしたら

私を怒らせたいのかも知れない。

ぐさりと胸に突き刺さる言葉を

投げかけてくる。

一瞬、ムッとするが、

的中している事なので

納得してしまう。

「あなたは鈍いんだよ。」

と言われたときも、

その時は笑って

「ははは、確かにそうですね。」

と同意した。

しかし、子どもの頃から

鈍臭い自分に腹を立てて

その為に母から打擲されていたので

後に想い出すとグサっときた。







私が直ぐむきになる性格である事も、

食べ物に依存しなければ

生きていけない状態である事も

真実である。

だから、どうしてその様な気持ちに

なるのか一生懸命言葉にして

伝えても、通じない事もある。

また、以前

「もう死んでしまいたい。

　私は生きる価値などないんです。」

と死ぬ事だけしか

考えられず、それを

主治医に話していたら、

荒々しい語気で叱られた事がある。

「命に生きて良い価値とかいけない価値とかないんだよ！」

と･･･。

私は、大きな声が怖いので

その後ずっと泣きっ放しであった。

確かに私は屁理屈を捏ねて

死ぬ理由を正当化しようと

していた。

私が間違っていた事は

承知している。

しかし、“死にたいと言う気持ち”は

こころの闇の奥底から

沸々と湧いてくるものであり、

それを止める術がない。

このような時、

向精神薬が沢山入った袋を

手元に引き寄せては

離し、離しては引き寄せるという

行為を繰り返す。

所持しているお薬の量では

死ねない事など充分解っているが、

一時的にもこの苦しい思考から

逃れたいと想うのである。

オーバードーズをすると

後々しんどい事になるから

どうにか思い留まるが、

只管「死にたい。」「消えたい。」という

気持ちを持て余していたら

胸を掻き毟りたくなるほど

不明瞭な想いでこころが

一杯になるのである。

その様な気持ちでどんなに苦しくても

もう、主治医には話せない。

また叱咤されるであろうから･･･。







上に記した気持ちは、

夕方を迎えるにつれて

増長していく。

そんな時こそ大好きな本を

読めば良いのであろうが、

字を追う事が出来ないのである。

直ぐ集中力がなくなって

同じ行を何度も読んでいる事がある。

もっと楽しい、

他の事に目を向けられたら

幸せであろう。

しかし、

「私は生きるに値しない。」

と考え始めると止まらなくなる。

困ったものである。







夕方、憂鬱になる事に対して

思い当たる節が１つある。

私は６軒一戸建ての家が

並んだ借家に住んでいる。

隣の家とは普通車１台

停められる位しか離れていない。

窓を開けていると、

大きな声であれば筒抜けなのである。

お隣さんは、若い夫婦と

４～５歳の男の子１人という

家族構成である。

その母親が、子どもに対して

いつもヒステリックに

怒っているのである。

聞きたくなくても聞こえてきて、

しかもそれは理不尽な怒りで、

胸が痛む。

また、バシッと身体を叩く音も

聞こえてきて、

子どもは「ギャン！」と叫んだ後

大泣きしている。

そして、

「ママなんか出て行け！ママなんか出て行け！」

と泣き叫んでいる。

しかし、母親の機嫌が良いであろう時は

子どもも笑って母親と話している。

そんな時、私は昔の自分を

想い出す。

そしてずぶずぶと

暗い沼に沈んでいく。







今月下旬には

楽しみが待っているのに

どうしても元気が出ない。

以前の私であったら

今からわくわくしていたであろう。

今日は漸く美容室の

予約を入れられただけである。

カウンセリングに行くのさえ

考えただけで身体が重くなるのに

果たして飛行機に乗って

大阪へ行き、バスや地下鉄などを

乗り継いで目的地まで

到着できるか心配である。

それまでには、少しでも

気持ちが明るくなっている事を

願って止まない。







夕方、外に出てみたら

小雨がぱらぱらと降っていた。

傘を差すのも面倒臭いと想って

少し冷たい雨粒を受けながら

スーパーへぼちぼち歩いて行った。

雨の日独特の、空気の香りが

漂い、雨に濡れたって

どうでも良いと感じた。

「何もかもどうでも良い･･･。」

というのが今の気持ちかも知れない。

投げやりでどうしようもないが、

兎に角、生きる事は諦めないでいたい。