風の強い、朝は。
朝6時過ぎ、雨はもう上がっていてただ、強い風が吹いていた。玄関から外に出てみると、冷たくても心地好い風が私の身体をすり抜けていった。風に吹かれると、何だか身体やこころの悪いものを攫っていってくれる感じがして気持ちが良い。手足は冷えてしまったけれど、晴れやかな心持ちになった。日々、身体が怠くなってきている。頭が重くて、精神的に追い詰められている感覚も強くなってきている。ただ、それは漠然としているのでどうしたら良いのか分からないから困る。辛く苦しいからとお薬を服用しても、それがこの想いに効く訳ではない。「この辛さや苦しみは、何れおさまる。」そう自分に言い聞かせてただ、時が過ぎるのをじっと耐えて待つしかない。【気分転換できる何か】があれば良いのであるが、気乗りがしない。何もやる気がないのである。母の風邪は、殆ど治った。安心している。苦しそうな母を見て、何も出来なくて本当に申し訳ないし、悔しかった。迷惑を掛けないようにしようとすればするほど、何故か余所余所しくなってしまい2人の関係も少し不穏なものとなった。正に、“共倒れ”という状態だった。タイミング悪く、PCが壊れかかっている状態で、私のこころも不安定だったのである。「どうしよう・・・どうすればいいんだろう・・・」という想いだけが頭の中でぐるぐる回っていて漠然とした不安や恐怖に立ち尽くしていた。けれども、少しずつ母が快復していくと、それにつれて私の状態も安定してきた。1日でPCのデータをUSBに移して再セットアップを行ない、その夜にはもう、ドラマ『斉藤さん』をPCに録画した。これは直ぐにDVDへコピーするつもりである。もう二度と同じ過ちを繰り返さぬように。PCショップの店員さんによく伺って他のソフトとトラブルを起こす事が余りないセキュリティソフトもインストールしたし、暫くは安心である。でも、このPCもあと2年で寿命がくると覚悟はしている。それまで、大切に使いたい。毎晩、母と共に過ごす時間を大切にしている。それが、私にとって温かい気持ちになれる大事なものだからである。私は手に日本酒か発泡酒、消化を許せるおつまみを持って、「おじゃまします」と母の部屋に入る。そして2人並んで、お酒を飲みながらTVを観たり、他愛ない話をしたりする。今日は2人で『SMAP×SMAP』を観た。ビストロスマップのゲストが白鵬さんだったので、相撲について話したり、色々と出来上がっていくお料理に「美味しそうだね、凄いね。」と感想を話したりしながら、共に過ごす時間を慈しんだ。部屋は狭いので、2人肩を寄せ合う格好となる。だから、温かい。母との関係が悪い頃であれば、そんな近い距離に居る事は耐えられなかったであろう。でも今は、温もりと嬉しさ、喜びが湧いてきている。火曜日、母は休日なのでいつもと比べてゆったり過ごせたのも本当に嬉しかった。妹たちの、結婚式の話が出た。妹は今、実質的に【母子家庭】なので医療費は無料だし、母子家庭に対する市や国からの補助もある。だから、何とか暮らしていけるのである。しかし、入籍してしまったらそれらの補助は打ち切られ、経済的に逼迫する事が目に見えている。私の考えとしては、彼氏とずっと一緒に生きていく覚悟があるのならば【事実婚】で充分だと想う。姪っ子が20歳になれば、あらゆる補助は打ち切られるのだから、それから入籍するのでも構わないのではないか。それだけ深い愛があるのであれば。入籍する事で、今よりも妹達が苦労する事が目に見えているのである。けれども、彼氏側の母親が結婚してほしい、結婚式を挙げてほしいと願っているのである。結婚式を挙げるのには何百万というお金が必要となる。一度にそんな大金を使うよりも、そのお金を貯金して、これから生活していく為の資金とした方が安定した暮らしとなる。妹の彼氏は、長男であるからその母親がちゃんと入籍をして結婚式を挙げてほしいという願いも分からなくもないが、現実問題、生活がかかっているのである。何不自由なく暮らしていけるほどのお給料を頂いているのなら、妹も私達も問題はないと考えるが、現在、妹も働いてやっと、どうにか暮らしていけているのである。理想と現実・・・その狭間で妹は悩んでいると想う。しかし、私がどんな言葉を述べても説得力はないので、母に言ってもらいたいと考えた。今日は、そのような事を話し合った。PMSの症状が、確実にゆっくりとこころを侵蝕している。抑うつ感が酷くなりつつある事。身体が重くて、何もする気が無くなっている事。摂食障害の症状が酷くなっている事。強迫性障害の、強迫観念が強くなっている事。こころが、少しずつ崩れてきているのを感じる。せめてもの救いが、【母と過ごす時間】である事は言うまでもない。独りでいると次第に漠然とした不安感、恐怖感が膨張していく。しかし、母と2人でいると他愛ないお喋りをしている事で不安感は何処かに隠れていて温もりを感じながら、楽しいと想えている。PMSの症状がない時は、面白いと想えるバラエティ番組を観てけらけら笑っているだけで厭な事も吹き飛ばせるが、今はそれが出来ない。PMSは、かなりしぶとい。笑っていられたと想っても次の瞬間すぐ沈み込む。仄暗い感情が、身体とこころを包み込んで病気の症状も酷くなり、溺れてしまう。掴もうとする藁さえも見つからない。しかし、母と過ごせる時間が増えた事により、リラックスできる時間が出来た。2人で笑い合えるという事が、こころにゆとりを与えてくれている。母には本当に感謝している。火曜日の休日は、ゆったり過ごしてほしいと想う。昼夜逆転の生活は、こころも身体も駄目にするようである。10時に眠り、19時前に起床する。それからスーパーへ行って買い物をして帰ってきたら暫くゆっくりして、ブロックアイスをクラッシュアイスにする。ブラッディメアリーを作った後、ネットを始める。夜中の過食と嘔吐を終えて、4時半から6時まで眠った後、シャワーを浴びる。そしてまた、朝の過食と嘔吐を始める・・・そういった習慣が根付いてしまった。でも、今のところはこれで落ち着いているので無理に普通の人と同じようにしようと頑張らないようにしたい。“辛く、苦しい状態はいつまでも続く訳ではない”このカウンセラーの言葉が、おまじないになっていて、いつかはこの苦しい状態も抜け出せる筈だと希望を捨てないでいられるのは事実である。いつかまた、カウンセラーとのカウンセリングを――春までには――再開できるように少しずつ、心身の調子を整えたい。ハプニングや、ショッキングな事があれば落ち込んでしまう事もあると想うが、それでも、自分のペースだけは掴みなるべく崩さないようにしたいものである。