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飯塚事件について考えること

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2023.04.04
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カテゴリ:ひとりごと
​久々の更新です。

この事件について考えたことは一通りブログに書いてみましたので、今後は一つ一つの事象について、少し掘り下げて考えてみようかと思います。

そこで、飯塚事件の物証の一つとされている繊維片について考えてみます!



繊維片とは?
簡単に解説しますと、判決では被害者の衣服に付着していた繊維片が、被告の所有する車両の座席シートの繊維片に由来する可能性が極めて濃厚であるとされております。つまりこれが被害者が被告に車に乗せられたとされた証拠の一つとなっているわけです。
しかし冤罪派の方はこう主張されてらっしゃいます。

"国産車シートに使用されている繊維片が付着していた"というだけ。
”どこにでもあるもの。”


それではどういった経緯でこのような判決となったのか見てみましょう。
先ずは被告の有する車両の座席シートについて、判決文に結構細かく書かれてますね。
5 被告人車の座席シートの布地及びそれを構成する繊維の特徴

 証拠によると以下の事実が認められる。

 (一) 被告人車は、マツダ株式会社(当時は東洋工業株式会社)が製造した「マツダステーションワゴンボンゴ」という車種の普通乗用自動車で、中でも最高グレードのウエストコーストである。被告人車の座席シート(助手席を含む全部の座席)に使用されている織布(S-TYR313X、以下「本件織布」という。)は、マツダが、ウエストコーストのマイナーチェンジに際して、ウエストコースト専用に開発したものであって、昭和57年3月26日から昭和58年9月28日までに製造されたウエストコーストの座席シートにだけ使用されており、他のマツダ車には一切使用されていない(甲120)。

 (二) 本件織布は、住江織物株式会社(以下「住江織物」という。)製のモケット(地糸の上に立体的にパイル糸を織り込んだもの)で、住江織物は、パイル糸を東レ株式会社(以下「東レ」という。)から購入し、茶久染色株式会社(以下「茶久染色」という。)に染色させていた(証人Q田Q男)。

はい、簡単にまとめるとこんな感じですね。


・マツダウエストコーストの座席シートの織布は、マツダがウエストコースト専用に開発したものであること
・マツダはその織布を住江織物より仕入れていること
・住江織物が制作した織布のパイル糸は東レ製、染色は茶久染色にて染色していること


さて、判決文に書かれている「モケットの上に立体的にパイル糸を織り込んだもの」と言われるとどういったものを思い浮かべますか?
特徴として肌触りがよく耐久性にも優れている生地とのことで、電車の座席や車のシート(それもグレードが高い車)に使われている物です。新幹線の座席等もそうなんですね。そう考えると、何となくイメージが付きやすいかなと思います。


ですのでマツダが開発したと書かれていますが、これはマツダが一から作ったわけではなく、マツダはデザインと生地の品質を指定して住江織物に織布の制作を発注したことは理解できるかなと思います。


それで住江織物は東レから仕入れたパイル糸を茶久染色に発注して染色し、実際に織り込む際の型などのデザインを起こしてマツダの注文(デザイン)に合わせて製作したのでしょうね。
そしてマツダは住江織物さんから納品された織布を自社若しくはシート制作の下請け業者に納品して車の座席本体を完成させる。
そういった流れですね。


ちなみに織布の柄って結構複雑でして、縦糸と横糸を織り込むことで柄を作っていくのですが、その柄をデザインするには事前の設計作業が必要なんですね。(私、実は昔そういった業界で働いていたことがあります。ちなみに住江織物さんとは御縁はありませんでしたが、同じくシートの織布を製作されている大手の​川島織物さんは仕入れ先でもありました。)

※ちなみに​川島織物さんのサイトで織物の柄の作り方などが写真付きで解説されてますね。興味のある方は覗いてみてください。



​しかし世の中には
マツダがデザインや素材を指定して織物会社に織布を発注するといった工程が理解できない人もいらっしゃるようで、実際に冤罪主張派の方でこのあたりの知識がない方が「マツダが住江織物の既製品を買って車のシートに加工しただけでした。」などとおっしゃられていましたが、そういったわけではないんですね。


話を戻して、ですので科捜研では被害者の衣服から検出された糸(ナイロン6)の含有成分などから東レが製造したもの特定し、また染料の配合や成分などから、マツダウエストコーストのものだと推定していますね。


しかしですね、住江織物さんはマツダ以外のメーカーのシートの織布も当然制作しているわけですよ。しかも東レの糸も当然に使用しているでしょうし、茶久染色さん含めた染色業者さんに染色作業を発注しており、その染色業者さんはドイツバイエルン社等の染料も使っていることでしょう。
ここで冤罪派の方が主張する「繊維片はどこにでもある物」との主張が正当化されるわけですね。


さてここで判決文に戻ってみましょう。

​そして、被告人車の助手席シートの黄茶色繊維(セピア)は、素材が東レのナイロン6ステープルで、二酸化チタンの含有量が0.34重量パーセントであること、科警研の光学顕微鏡によると、直径が約15マイクロメートルであることが認められ、これらは⑦の黄茶色繊維の特徴と合致している。さらに、被告人車の助手席シートの黄茶色部分には、染料として、ドイツバイエルン社のイソランイエローK-RLS200が3.99ないし4.2パーミル、スイスサンド社のラナシンブラックBRL200が0.96パーミル使用されているのであり、証人R田によると、このような染料の組み合わせや配合比がマツダステーションワゴン・ウエストコースト以外の車両のそれと一致することは通常ありえないというのであり、現実にも、平成2年2月20日以前に製造されたマツダワンボックスカーの座席シートについて、本件織布と同じ色調のもので、かつ、その使用染料がイソランイエローK-RLS200とラナシンブラックBRL200の組み合わせのものは、判明している限りでは存在しない(弁118)のである。​

染料のメーカーも特定できており、また証人Rさんは「このような染料の組み合わせや配合比がマツダステーションワゴン・ウエストコースト以外の車両のそれと一致することは通常ありえない」と証言されています。


そして続きます。​
​マツダ以外の自動車メーカーが製造した自動車の中に、その座席シートの原糸材質が東レのナイロン6で、イソランイエローK-RLS200とラナシンブラックBRL200(これと同じ構造のイルガランブラックRBL200を含む。)が塗料として、マツダステーションワゴン・ウエストコーストと同じような配合比で使用されている可能性は、証人R田の供述によって、ほとんどないということはできても、そのような現実的な可能性が全くないとまで認定することのできる証拠は存せず、これらの点については、弁護人が指摘するとおりである。したがって、右の点からしても、被害児童の着衣に付着していた繊維片がマツダステーションワゴン・ウエストコーストから脱落した繊維片であるとまで断定することはできないといわざるを得ないのである。

​そうですね。
あくまでも工業製品でありますので、「ウエストコーストから脱落した繊維片であるとまで断定することはできないといわざるを得ない」というのは当然理解できますね。しかもその理由としてほとんどないということはできても、そのような現実的な可能性が全くないとまで認定することのできる証拠は存せず」とのことです。

これを断定するためには、世界中の車や電車や飛行機等のシートを全て調べてみないと他に使われていないことは断定できませんからね。
冤罪派の方の主張として、このように判決文の一部を誇大に(裁判でも認定することのできる証拠は存せず」と言っているじゃないか!と主張する)方が多いですが、そりゃ偶然に海外の織布メーカーが同じ東レの糸と染料メーカーの染料を使って、ウエストコーストと似た配色のシートを作っている可能性までは完全に否定できないですから当然こういった言い方になりますよね。

しかしですね、ここまでご覧いただいた方ならお気づきになるかと思いますが、この判決文を普通に読んで、判決文に書かれた断定はできないといった表現と冤罪派の方が主張される国産車シートに使用されているどこにでもあるものとの表現が、実は似ているようで全く意味合いが異なることはご理解いただけるかと思います。



さて、どこにでもある物と仮定して、そのうえでそれではその物と同じ物をどうやって探せばよいのか考えてみましょう。答えはとっても簡単です。
なにせ手掛かりは満載です!
はい、糸のメーカーと染色業者に織布を制作したメーカーに染料メーカーまで判明しているわけですから、そこから確認できますよね。住江織物さんに該当する配色のシート用織布の製作状況を確認し、それをどのメーカーにおろしたか聞けば一発で判明しますね!
国産車メーカーの方が、まかさ自社の車を開発する際に住江織物さんの店舗に行き、どの織布を使おうかって現物をいくつか見て考えるわけないですからね。(そもそもマツダがこのウエストコースト用に開発した物なのですけどね・・・)

そして次は判明した車メーカーにも確認すれば、そのメーカーのどの車種のシートで住江織物から仕入れたウエストコーストと似た配色の織布が使われていたかすぐに判明します。とっても簡単です。
さらに念には念をで、国内には住江織物さん以外にも車のシートの織布を制作しているメーカー(川島織物さん等)があるので、その他の会社にも確認できれば完璧です。ま、国産車では一般的に使われていてどこにでもある物ですから、そこまでせずとも住江織物さんに聞いた時点ですぐに答えは出るでしょうが。
さて、次は似たような言葉ではありますが、断定させようとするにはどうすればよいか考えてみましょう。これは結構大変でして、東レのナイロン6を使って製作している世界中の車・航空機・電車等のシートを調べて、同じ染料メーカーの染料と似た配色の物がないか証明しないと断定できないですよね。断定とはそういったことです。
みなさんなら「同じものを探す」を選びますか?
それとも「断定するための作業」を選びますか?
どこにでもある汎用品ならば、同じものを探す作業の方が簡単ですよね。
さて、ここで改めてこの繊維片の証拠に対する冤罪派の方の主張を見てみましょう!
"国産車シートに使用されている繊維片が付着していた"というだけ。
これはまさにレトリックでして、とはいえこの程度の言葉に騙される人はほぼいないと思いますけども・・・。
しかし、この主張は全て正しいことを言っていらっしゃいますね。はい、国産車シートに使用されている繊維片ですので嘘ではありません。
ではあなたは国語の試験で、これらの判決文を読んだうえで繊維片について簡潔にかつ的確に説明しなさいとの問いに対してどのように答えますか。

"国産車シートに使用されている繊維片が付着していた"というだけ。と答えますか?
私ならこう回答します。

マツダが開発し、川島織物に発注して製作したウエストコーストに使用された織布と類似する繊維片が付着していた ってね。



私はこの繊維片には結構こだわっておりまして、私が繊維業界で働いていた経験があり、織布がどのような工程で製作(デザインから染色、製作まで)されているかを知っていますからこのように考えるのかもしれませんが、本当にどこにでもあるものであれば絶対に今からでも見つけることができると思うのです。少なくとも公判中であれば企業にも納品データが残っていた可能性が高いので見つけ出せたと思うのですよ。
しかも、もしこの繊維片の証拠を早い段階で弁護側が崩すことができていれば、この裁判の結果はどうなっていたのでしょうか。そう思いませんか?
残された車内の物証は血液型(それも日本人の3割が該当するO型)と、DNA型もたった三通りにしか分類できない証拠だけなのですから。
被害者が被告の車に乗ったと検察の主張を簡単に崩せたと思うのですけどね。

みなさんはどのようにお考えになられますか?





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Last updated  2023.04.04 19:00:44
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