カテゴリ:日常生活から
多くの方にとって田中好子さんはアイドルグループ「キャンディーズ」のメンバーとして記憶に残っているようです。
しかし私にとって田中好子さんは映画「黒い雨」のヒロイン矢須子です。 映画「黒い雨」は、井伏鱒二氏の同名の中編を、故今井正監督が1989年にモノクロで映画化した作品です。 田中さんは、広島の原爆投下による放射性物質を帯びた「死の灰」で黒くなった雨を20歳で浴びた矢須子を演じられました。 矢須子は心の傷(PTSD)で自分が生存していることを許せなくなりますが、同じように復員したものの心の傷を負った男性と会ううちに生きる希望を見いだします。 田中さんは矢須子の死に傾斜する様子をとても美しく演じておられました。 また田中さんは1990年代のNHK教育の幼児向け番組で、季節はずれの死に行くもんしろ蝶の様子を朗読されておられました。 私は、本日公開された田中さんの震災の被災地へのメッセージを聞いて、あのもんしろ蝶の独白を思い出しました。 「黒い雨」での演技は時節柄田中さんのキャリアとしてなかなか取り上げられません。 しかし今井監督は、放射線による健康障害を克服して四国八十八カ所巡りをする矢須子と夫の姿のカラー映像のエンディングをDVDに付け加えられました。 ご冥福をお祈りします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.04.25 22:43:55
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