カテゴリ:日常生活から
『子供の王様』 1987年中国映画 原作アー・チョン 監督チェン・カイコー
脚本チェン・カイコー、ワン・チー 出演 シュン・カイユー、シュ・ユアン、ヤン・シュユエン,チュン・シャオホア やっとこさ私はチェン・カイコー監督作品『子供の王様』を見ました。 私ら夫婦は同監督の高倉健一主演の『単騎千里を奔る』のDVDを見て泣いちゃったにもかかわらず、全作品を見ていなかったのでした。 チェン・カイコー監督は『子供の王様』に、ご自身の下放時代の経験を反映させたそうです。 しかしながら、主人公の青年「やせっぽち」が儒教的な陰徳を積む人である事は、最初の台詞「それでみんなの気が晴れるなら構わない」に現れているように私は考えます。 「やせっぽち」は、全く教育実習を受けずに辺境の中学校の3年生の国語の担任となって途方に暮れます。 生徒に教科書も配給されない状況で自分に何が出来るのかと夜中に鏡に向かって唾を吐きかけもしました。 「やせっぽち」は自分の指導に文句を付けたワン・フーに導かれるように、自由作文指導で授業を活発化していきます。 下放部隊で「姉御」と呼ばれる来妹が提供してくれた国語辞書で生徒達の競争心をかき立てたりもしました。 やせっぽちの詩に来妹が曲を付けた「ある寺の住職が~」は学校の愛唱歌となりました。 またやせっぽちは保護者からの「小学校卒は一人前、中学校卒は挙人」という期待を聞いて「中学3年は大変だ」という学年歌も作って歌わせました。 「やせっぽち」の教師活動は地域に知られるようになり、約一年で地域の教育幹部はわざわざ彼を訪ねてきます。 興味深い事は、日本のネット上の感想は「『やせっぽち』はお上に目を付けられて左遷された」というものが多い事です。 それでは「やせっぽち」が学校を去るに当たっての数学教師の「ここに来て7年、何度学校に火を放ったか」という台詞の意味を理解されていない方が多いのかな、と私は考えたりしました。 この教師の言葉は好意的に判断すると「学校を燃やして注目を集めなければこの地域の教育現場は変わらない」という危機感の現れなのかもしれません。 私が見たところ学校の新・改築は保護者と生徒の材料調達から建築の負担であるばかりか、生徒の受けるべき教育の機会も奪うばかりで全く生産的ではありません。 日本史にも放火を違う意味で注目を集める手段とした女性八百屋お七は死刑となりましたっけ。 私の知っている漢籍の範囲では、これはサクセス・ストーリーです。 それくらい旧い部分があるので、この映画のラストは今昔物語風に幻想的に終わります。 今の日本の政治のガラガラポンも若い世代に大きな負担を強いているようにも私は考えました。 繰り返します。私ではなくて30代以下の人々です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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