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『グムエルー漢江の怪物ー』2006年韓国映画 監督・脚本ポン・ジュノ
ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル,ペ・ドウナ、ユ・アソン 久しぶりに「ソン・ガンホのめげないオジさんを見て元気になりたい」とDVDを借りようとしたら既に借りられていたので、『グムエル~』の素晴らしさについてつぶやく事にしました。 『グムエル~』は2006年に韓国の最高観客動員数1230万人を記録した大ヒット作品です。 我が家は2008年前半にまず夫がDVDで、次に私がCSで作品を鑑賞しました。 愚息はネット上でグムエルの造形が、巨大なハゼである事を確認した時点でダサクて見ない宣言を出しました。 夫は「ロボトミー手術を記憶を消去する手段として映画として扱ってもらっては」と見たもののやんわりと拒絶反応。 私はファミリー・アドベンチャーとして大笑いしました。 『グムエル~』はひょっとすると1970年代の大ヒット映画『人間の証明』に似た部分があるのかもしれません。 パク一家が生計を立てる漢江の河川敷の売店は、横浜の山下公園の貨物線高架下のそれと良く似ています。 ああいうお店にジュースを買いに行って、親父はぼうっとしているのにカアチャンや娘が奥からあわてて出て来る事を経験した事があります。 今ではミッフィーグッズを売るローソンしかありませんが。 この映画の最も予想外な部分はソン・ガンホの店先で寝てばかりの男が、在韓米軍関係者とおぼしき人々からロボトミー手術もどきの電極による電気刺激を受けたとたんに、ほうれん草缶を食べたポパイみたいにシャッキーンとはっきりして無敵になるところです。 映画オタクにとっては東西冷戦スタート時のアメリカの「共産の洗脳スパイ」映画のパロディーみたいに見えます。 『グエルム~』が日本の怪獣映画の系譜の延長線上であるとすれば、コ・アソンの女子中学生の造形も見事です。 グエルムはゴジラのような巨大な化け物ではありませんが、お腹が一杯になるまで人を喰う生物です。 グエルムの巣である河の堰の下水施設には、被害者のおびただしい衣服や骨が堆積していました。 それをアソン演じる中学生は同じく生き残った弟くらいの男子小学生と目撃しますが、いきなり精神的に大人となります。 私はそれを映画『ゴジラ』の、銀座に襲来したゴジラの巻き添えとなる事を期待して、幼子2人を連れて心中に臨む狂った母へのアンチテーゼを感じています。 あれは子供の頃とても怖かったです。 そんな訳でこの映画のラストは主演坂東妻三郎、監督・脚本丸根賛太郎の『狐の呉れた赤ん坊』のワンシーンのようなしみじみとした終わり方をします。 「世界の人はかなり日本の事を見てくれているが、批判的でもある事を理解しなければならない」と考えずにはいられない映画に私は出会ってきたようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.07.30 22:59:43
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