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『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争』 デービット・ハルバースタム 山田耕介・山田侑平訳
上巻を50ページほど読んでから下巻を読み始めたもののなかなかページが先に進みませんでしたが、第9部を残すまでとなりました。 朝鮮戦争は1990年代後半から韓国で映画とドラマの題材に取り上げられるようになりましたが、米国ではヴェトナム戦争の陰となっています。 朝鮮戦争を扱ったハリウッド映画で私が見た事があるのは、『勝利なき戦い』『折れた銃剣』『マッシュ』の3本です。 そのうち『勝利なき戦い』と『折れた銃剣』が描いた戦闘のドキュメンタリー部分が下巻に含まれているのでその描写をとっかかりとして読んでいるのですが、とても辛いです。 197ページから200ページの笞刑場(ゴーントレット)の退却の混乱の描写では気分が悪くなりました。 『勝利なき戦い』に描かれた1953年のポーク・チョップ・ヒルの攻防戦は501ページの第52章「戦争の終結」の最終節「戦いのための戦い」であっさりとまとめられていますが、5日間で生還率10.3%の激戦の描写が含まれています。 この戦いは、休戦協定の16日前の出来事だそうです。 第9部のチビヨンニの戦いは読み始めたばかりですが、将官の民族偏見が戦闘に影響した可能性がある事を示唆する描写から始まっています。 ハルバースタム氏は米国国内情勢と米国軍の動向を取材されて書かれたのですが、最も豊かな国の軍隊の消耗戦の有り様は本当にすさまじい、と私は考えました。 第11部「結末」の第53章「遥かなり朝鮮半島」の「兵士たちは再びその地を訪ねる」には興味深い描写があるので引用します。 帰還した兵士たちの多くは長いことそれを胸のうちにしまっていた。帰国当初、戦争について聞きたがるものは誰もいなかった。だから彼らも話さなかった。家族や親友にも話さなかった。話したとしても、誰も理解しなかったし、さらに悪いことには、理解したいとすら思わなかったのである。 中略 すべてが封印された形だった。だが、自分たちが何をしたか、なぜそうしたのか、それが彼らにとって重要なことに変わりはなかったー戦争に行ったことを誇りに思い、過酷な条件の下でりっぱにやり抜いたことを誇りにしていた。 彼らは生還しなかった兵士を悼んだが、それは仲間うちだけでのことだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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