ドイモイ立役者の死去
6月11日、元首相のVo Van Kietさんが亡くなりました。ベトナムは元首相の死去と言うニュースで、毎日新聞・ニュースが埋められています。別に街中まで哀悼ムード、というわけではありませんが。 Vo Van Kietは南部VinhLong省出身で、解放戦争期間中は南部で活躍し、戦後は経済部門で活躍し、1991-97年には首相として開放したばかりのベトナム経済を引っ張りました。Nguyen Van Linh元書記長などと並び、ドイモイの立役者の1人として国際的にも評価の高いベトナムの指導者でした。 97年に引退後も影響力を及ぼし続け、メディアなどを通じて自らの意見を主張し続けました。例えば「愛国者は共産党の党員だけじゃない」というBBCの取材に対する発言や、或いは以前の日記でも少し書きましたように、つい先日終了した国会で承認されたハノイ市拡大計画にも慎重にやるべきだと拙速振りを批判するなど、現役世代にはなかなかできないような体制批判を、新聞などを通じて発信し続けました。改革派からの批判意見として、しかも元首相と言う元老からの厳しい批判は、現在の体制側にとっては耳の痛い意見をと思う人もいたかもしれません。今日のTuoiTre紙では、かつての南部政権副首相であったNguyen Cao Ky氏もが哀悼の言葉を載せるなど、南部の人ならではのネットワークを持ち、特に知識階級との交わりを大切にした方のようでした。 インフレ、ドン安、貿易赤字と、久々にベトナム経済が多くの困難を迎える中の、ドイモイ政策実行の立役者の死去は、何とも象徴的なような気もしてなりません。厳しい批判を残したハノイ市拡大はこの8月にも始まります。