香港の中国化!?
そろそろ終わりにしようかな、ハノイで香港のことを考えたこと、最後は香港と中国の関係です。とは言っても、今は香港は中国なのですが、ここでは香港と大陸中国と言う意味で、ここでは香港と中国(人)を使います。。 もう言い尽くされていますが、香港に来る中国人の数は止まるところを知りません。多くのショッピングモールで見る購買層は中国人、おかげでというか何と言うか、以前までは「天も地も恐れないが、香港人の普通話(中国語標準語)だけは恐ろしい」とまで言われた、香港人の下手な普通話もとても上手になりました。以前は少々下手な広東語でも、それに付き合って話してくれていたのですが、今回は自分が広東語の発音を少し外すと普通話に切り替えられ、悔しい思いをすることが多くありました(まあ自分の広東語も相当落ちたのだと思いますが)。ある香港人の友人と話した際にも、「今では香港にいる住民で広東語が(ネイティブとして)話せない人が150万人もいる」と、観光客だけでなく移民してくる中国人の数も相当だと教えてくれました。 それに伴いというか、なかなか大陸中国に批判的になれるメディアはなくなりつつあるようで、登場したときにその激しい大陸批判で話題を呼んだアップルデイリー以外は、ほぼ批判の声を潜めているとその友人はいいます。TVやラジオも同様で、その点彼は最近はネット上でのラジオ局を良く聞いているそうです。それらはいわゆる正規の電波を通じたラジオではないので当局の認可も必要なく、その分発言も自由なのだそうです。最近は自分も(広東語の復習がてら)そのラジオ番組を聴いています。さすがに内容からして難しいですが、それでもまあわりと自由にしゃべっているというのは聴き取れます。http://www.myradio.com.hk/ そんな中、昨年末には香港における行政長官の自由選挙と、立法委員会の職能別議席を廃止した完全自由選出が、それぞれ2012年からという約束から前者が2017年、後者が2020年に実施と延期にする旨が、中国の全人代常務委員会副秘書長から発表され、いわゆる香港の民主派の反対を招くなど波紋を呼んでいます(と言うほど世界的に注目されているようには思えませんが)。香港の民主化については、イギリスが返還前に駆け込みで推し進めたとかも言いますが、中国にとっても1国2制度の最初の香港でつまずくことはできないと言う意味で非常に難しい問題、今回の延期も胡錦涛が自ら判断したと報道では言われています。ただ、所謂民主は勢力もかつて程の影響力、勢力はないようです。今日、この件に反対してのデモが行われたようですが、その影響力はいかばかりのものなのでしょうか。ただ、2003年にあった基本法第23条に基づく国家安全条例の立法に対する50万人規模のデモが中央の決定も考慮させなおしたほどではあるので、香港の民意の力というのも軽くは見れないのですが。 香港が返還された当初は「大陸の香港化か、香港の大陸化か」などという議論がありましたが、今はその議論は既に決着が付いているような勢いです。今の香港経済の好調ぶりも、明らかに「中国さまさま」という解釈であり、政治的にも、経済的にも中国化していることは否定できません。何度も出すその友人曰く、最近は広東語のボキャブラリーですら、徐々に普通話の語彙に影響を受けていると言っています。 ただ、香港が完全に「中国化」してしまったら、これまで香港に来ていた人、金、物がとまってしまうであろうことは、中国当局も納得しているでしょうし、中国にはまだ次の課題である台湾があります。今後、香港が自由な普通選挙を実施できるようになるのか、はたまた香港のメディアがどのように活動していけるのか、香港の影響力は時代とともに変わるとは思うのですが、香港を注目する重要性はまだあるような気がしますし、香港に少し住んでいてその街を好きになった人間としては、そうあって欲しいなあと願ってもいます。一味違う香港でいて欲しいなと。