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頭の中のふわふわしたもの

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2009年03月01日
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カテゴリ:フィクション
私は穴を抜け、扉の前に立った。





それは先ほどの扉と同様に、不気味に光っていた。






扉にはこう書かれていた。






「The dawn」






私は扉を開けた。





先ほどと同じような部屋。





正面には1枚の絵が掛けてある。






そこには、凄惨な光景がリアルに描かれていた。







それは互いに傷つけあう人々。






絵の中の人間は、ただ目前の敵を倒すことしか考えていないようだった。







そこには正義や悪など無かった。






それぞれの人間にとって、自分が正義で周りが悪なのだ。







人間は、自分にとって害となる人物を"敵"として排除しているのだ。












絵の下には先ほどと同じように文字が彫られている。







『nightmare』






その下に彫られていた日付は








「今日・・・」







すると突然驚くべきことが起きた。







絵の中の人間が動き出したのだ。









剣を振る人。血を吹き倒れる人。







それはまるで窓から見ているように鮮明に映し出されていた。









人は、自分のことばかり考えて、相手のことを考えようとしない。

他人のことを考えもしないで、それが善か悪かを判断してしまうのだ。








「これが、悪夢のはじまり・・・」







私がそうつぶやくと、突然背後から声が聞こえた。






そう、あの少年の声だ。








私はとっさに扉を開けた。






少し離れた場所に少年が立っているのが見えた。






少年の背後には扉があった。







彼は小さな声でこう言った。











「未来を」










それは私に届くはずもない小さな声だったが、不思議と私は聞き取ることが出来た。





まるで心に直接語りかけているようだった。










そして彼は振り返り、扉の方を向いた。










「ま、待って・・・!」







私は走った。







しかし彼は扉をすり抜けて、向こう側へ行ってしまった。







私は追いかけるように扉を開いた。









扉を開いた先にあったものは、私の家の玄関であった。











驚いて振り向くと、そこには私が今まで居た暗闇の世界など無く、私の家の外の風景があるだけであった。








私は辺りを見渡した。






しかしそこには少年の姿は無かった。









まるで夢から醒めたような心地だ。









しかし私の頭の中には、少年の小さな声が確かに響いていた。








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最終更新日  2009年03月02日 01時16分28秒
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